グローバル企業での活用が進むLotus:Lotusphere 2010 Orlando Report
パナソニックがクラウド製品「LotusLive」を大量導入するなど、グローバル規模での評価が高いLotus。その理由とは。
1月19日(米国時間)にフロリダ州オーランドで開幕した年次カンファレンス「Lotusphere 2010」の基調講演では、ユーザー企業によるIBMのLotus製品の活用事例などが紹介された。
司会を務めたのは、新たにIBMのLotus ソフトウェア部門GMに就任したアリステア・レニー氏。黒色のシンプルなスーツに身を包み、若々しく振舞う姿が印象的だ。
同カンファレンス直前に、パナソニックがIBMのクラウドベースのグループウェア「LotusLive」をグローバルで大規模採用したニュースが話題となったが、本セッションでも一番の目玉となった。あいにく登壇はなかったが、担当者がビデオレターで「グローバルで柔軟かつ迅速にシステム導入できるほか、TCO削減を図れたことで採用を決めた」とコメントした。
大手保険会社のZurichでは、6万人を超える社員のメールシステム移行に際してグループウェア製品「Lotus Notes」の採用を決めた。同社のIT部門で最高執行責任者(COO)を務めるシルビア・シュタインマン氏は、実はIT部門の中でMicrosoftのコミュニケーション製品「Microsoft Office Outlook」とNotesの両天秤に掛けていたことを明らかにした。同社はライフサイクルマネジメントを重視しており、「人を中心に技術を考えているLotus Notesを評価した」とシュタインマン氏は話す。現在はグローバル全体で導入済みで、バージョン6.5から8.5へ移行作業中という。
「毎朝、社員が席に着きNotesを立ち上げればすぐにブログやWikiにアクセスできる。裏側の複雑なシステムを見ることなく、ユーザーは単一のシステムで容易にさまざまなアプリケーションにアクセスできる。今ではIT部門も導入は正しかったと判断している」(シュタインマン氏)
自動車業界での利用も
自動車部品メーカー大手の独Continental AGは、企業合併によってコミュニケーション製品の統合を加速させた。2007年に同じくドイツに拠点を構えるSiemens VDO Automotive AGを買収したことで、社員数が4万人増の7万7000人になった。これまでSiemens VDO Automotive AGではMicrosoftのコミュニケーションプラットフォーム「Exchange Server」を利用していたが、世界のさまざまな地域をカバーできることや瞬時に意思決定できることから、もともとContinentalが利用していたLotus Notes Domino環境への統合を決定、わずか5カ月という早さで実現した。
昨年6月に米連邦破産法11条適用を申請し、経営再建に取り組んでいる米General Motors(GM)もLotusユーザーの一員だ。IT部門を担当するカーク・グットマン氏は「再建のためには人とスピードが不可欠。いろいろなユーザーデバイスと統合し、家でも会社でも路上でも使えるコラボレーションソリューションが必要だ」と強調した。電気自動車の開発プロセスにおいてもLotusを活用していると話した。
関連キーワード
Lotusphere | Lotus | コラボレーション | IBM | LotusLive | Notes | Web2.0 | クラウドコンピューティング | Lotus Foundations
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Lotusphere 2010 Orlando Report:厳しいビジネス環境、コラボレーションこそが転換のチャンス
肌寒い気候が続くフロリダ州オーランドで年次イベント「Lotusphere 2010」が開幕。Lotus事業の今後の方向性を示す内容となった。また、オープニングセッションの特別ゲストには「スタートレック」でおなじみの俳優が登場し会場を大いに沸かせた。 - <オルタナティブ・ブログ>Lotusphere 2010に行ってきました (その1)(The Grouchy Bug)
- <オルタナティブ・ブログ>Lotusphere 2010に行ってきました (その2)(The Grouchy Bug)
- Lotusphere 2009 Orlando Report:景気低迷期こそコスト削減と生産性向上、企業の期待が掛かるNotes/Domino
1月19日、フロリダ州オーランドで「Lotusphere 2009」が開幕した。経済危機にもかかわらず、コスト削減や生産性向上を模索する顧客らの参加はむしろ増えている。 - Lotusphere 2009 Orlando Report:「SaaS/クラウドなら安く上がる」は早計、LotusLiveの真価とは?
1月20日朝、フロリダ州オーランドの「Lotusphere 2009」は2日目を迎え、「LotusLive」の詳細が語られた。SaaSなら安く上がると考えるのは早計で、むしろ、LotusLiveならば、組織の境界を超えてコラボレーションしたり、新興企業でも手軽に活用できる点を評価すべきだ。 - Lotusphere 2008 Orlando Report:企業に押し寄せるWeb2.0の潮流、Lotusなら選り取り見取り?
昨年、Lotus Connectionsを投入し、企業向けのソーシャルソフトウェアという新たなカテゴリーを確立したIBMは、Web2.0の流儀に合わせるべく、Lotusphere 2008でさらなるロードマップを明らかにした。 - Lotus Spring Forum 2009 レポート:クラウド化したLotusで未開拓市場を掘り起こすIBM
Lotusの機能をネットワーク経由で提供する「LotusLive」をぶち上げたIBMは、2009年の中旬以降に同サービスを国内でも提供する。LotusLiveは、IBMがこれまで開拓しきれていなかった中小規模の企業を取り込む可能性がある。 - e-Day:少し忘れられていたLotus Foundations ── 簡単Notesはニッポンの中小企業を変えるのか
Notesのコラボレーション機能などをパッケージ化したオールインワン型のソフトウェア製品群である「Lotus Foundations」が東京のカンファレンスで発表された。クラウド人気の陰で少し忘れられていたNotesアプライアンスはニッポンの中小企業を変えるのか。