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JUASが企業変革を担うCIO候補を育成富士山のふもとで特訓(1/3 ページ)

JUASの「イノベーション経営カレッジ」は、変革をリードする人材として情報システム部門の幹部社員を育成するのが狙いだ。9日間にわたる合宿研修のハイライトを取材した。

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寝起きを共にしながら研鑽するイノベーション経営カレッジ

 社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が企業の変革を担う人材を育成すべく、「イノベーション経営カレッジ」をスタートしたのは、折しも日本企業が景気の底をようやく確認できるところまできた昨年7月だ。徹底的に無駄を省くことで世界同時不況にも耐えてきた日本企業だが、依然として先行きが見通せない。各社が変革によって新たな道を切り拓こうと模索を始めた時期でもある。

 イノベーション経営カレッジの狙いは、企業を変革するには、「ビジネスモデル」「業務システム」、および「情報システム」という3つの革新が求められ、それを構想・実行できる人材として情報システム部門および情報子会社の幹部社員を育てることだ。

 「日本には優れたCIOが少ない」と嘆く声はしばしば聞かれるが、JUASではさらに一歩進め、「CIOは、“Chief Innovation Officer”でなければならない」と、変革をリードする人材の育成に乗り出した。経営やIT戦略の講義だけでなく、現役のCIOや大学教授を講師として招き、事例研究、模擬体験、自社研修を通して体系的に体得できるのが特徴だ。なお今週、都内で予定されている「NTTデータ イノベーションカンファレンス 2010」では、イノベーション経営カレッジの特別セッションも行われる。

9日間の合宿

 富士山のふもと、静岡県三島市の東レ総合研修センターで計9日間にわたって合宿しながら学ぶ同プログラムは、昨年10月と11月に第2期も行われ、第1期と合わせて40名弱が受講している。

 ITmedia エグゼクティブ編集部が11月中旬に取材したのは、受講者全員がITによるビジネス変革の提案を発表する2日間にわたるセッションだった。プログラムのごく一部に過ぎなかったが、研修のエッセンスが詰まったものと言っていい。受講者の企業名は明かせないが、流通、製造、エネルギー、金融など各インダストリーの大手企業約20社が名を連ねている。

 個々の発表では、企業を取り巻く厳しい環境から始まり、生き残りを賭けた企業戦略が語られ、その中で大きな役割が期待されながらも、山積する課題に苦しむ情報システム部門の姿が浮き彫りなった。また、本題として与えられた「ITを活用した業務課題の解決提案」では、さまざまなアイデアが出され、受講者同士の議論もしばしば白熱した。

企業を取り巻く環境は厳しさを増す

 残念ながら企業名を挙げて個々の発表を紹介することはできないが、情報システム部門の幹部社員らが感じている外部環境の変化は、ほぼ次の3つに集約できる。「少子化と景気後退による市場縮小」「新興国企業との競争激化」、そして「地球環境保全に対する社会的要請」だ。

 国内市場の需要が衰える中、いわゆるBRICsと呼ばれる新興国の企業もめきめきと力を付けてきている。日本企業は、価格面だけでなく、品質面でも差を詰められつつある。そのうえ、鳩山新政権は二酸化炭素排出の25%削減を表明し、新たなルールとして企業運営の将来に大きな影響を及ぼそうとしている。

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