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ただ定年を待つばかりのIT部門長は不要だ売り上げ増に直結するIT部門の作り方(2/3 ページ)

後ろ向きな気持ちで仕事をするようなIT部門とはもうおさらばだ。活気あふれるプロフィット部門にするためにも、IT部門長は何事もなく定年を迎えようなどという甘い考えは捨てよう。

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CIOやIT部門長が自ら現場へ出るべき

 まず、利益を出すにはどうすればよいかを知ることから始めなければならない。そのためには、商売の分かるIT要員を育成する必要がある。ところが、根っからのシステムエンジニアが急に営業や生産の本質が理解できるわけがない。

 業務部門の人たちが日々何を考えて利益を出そうとしているのかを洞察する力が必要である。そのためにはIT部門のトップであるCIO(最高情報責任者)や部門長が自ら現場に出てもらうしかない。トップがもうけるとは何かを自分の言葉で語り、強いリーダーシップを発揮しない限り実現できない。

 これは難しそうで、実は簡単なのである。現場はもうけるために何をしているのか、何に困っているのか、何に時間が掛かっているのか、なぜ判断が遅れるのかを自分の目で確かめ、肌で感じられればよいのである。

 現場は既成概念があり客観的に業務分析することができない。それをふかん的にとらえるだけで、現場のスピードアップ、品質アップの糸口が見えてくるのである。しかし、単純にITだけでもうけようなんて考えてはいけない。業務改革を軸に、仮説検証のスピードを上げたり、PDCAサイクルを短時間で回すなどの必要な仕組みを投入することでもうかるITが実現できるのである。そういう意味でも、ビジネスや部門運営が分かるIT部門のトップが現場の課題を見極めるために、現場に身を置いて考えるべきなのである。

 わざわざIT部門のトップが現場の仕事にどっぷり入り込み、もうかるITを模索しなければならないのかという意見もあるだろう。実は、仕事の手順を整理し何の目的でその仕事をしているのか、物事の良い・悪い、正常・異常、高い・安い、速い・遅いなどの判断基準を適切な条件で定義できる能力は、ロジカルに物事をとらえ分析する経験を積んできた情報システム部門の人間にしかできないからである。

 加えて、業務手順を詳細にフローに描く能力、その1つ1つの手順の真の目的を洞察する力、そして部門の壁を取り払った上で最も合理的な業務手順を創造する力が必要であるため、若手や中堅のIT要員に任せても得るものはない。現場の意見や要望を鵜呑みにして、これまでと同じ受身のITになってしまうからだ。現場も気付いていない合理的で精度の高い業務手順を描き、それをITの仕組みとセットで現場に提案し、迅速に構築するのがもうかるITである。

 しかし、IT部門長やそれに類するベテラン部員は希少である。その少ないリソースをどこに投入すべきか。これまでのように全社に平均的にリソースを振り分けるのではなく、売り上げを稼ぐ事業あるいは地域に特化してもうかるITを提供すべきである。例えば、製造業では「エコ」や「クリーンエネルギー」がキーワードである。地域では、生産地としてだけではなく消費地としての成長が著しい中国である。

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