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データ収集だけで終わらせない、高度な情報活用で予測型経営を実現せよ

経営環境の変化がさらに激しさを増す中、企業には変化に対応するための俊敏さがより求められている。IBMはその実現に向けたアプローチとして、情報のさらなる活用を通じた経営管理の高度化を提唱し、その普及に尽力している。IBMの提唱する経営の高度化とは果たしてどのようなものなのか。また、その実現に向け、企業には何が求められているのか。

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経営管理の高度化を通じ変化への機敏な対応を実現

 企業活動における情報活用の有効性については、改めて多くを語るまでもないだろう。社内に日々蓄積される各種の業務データは、企業やその取引先といったステークホルダーの意思決定の集積とも言え、その分析は企業活動にまつわるさまざまな傾向を探り当てるための貴重な手段と位置付けられる。“気づき”が得られたあかつきには、劇的な業務改善につなげることも可能だ。マーケティング分野において広く知られる「ビールと紙おむつ」の例からも、その効果の高さをうかがうことができる。

日本IBM IM&BA事業部 Business Analytics事業開発Cognos営業部FPM担当の内田辰己氏
日本IBM IM&BA事業部 Business Analytics事業開発Cognos営業部FPM担当の内田辰己氏

 その一方で、現在のビジネス環境はどうか。一時の危機的な状況からは脱したものの、依然として景気は多くの国で低迷を続け、企業はM&A(企業の合併・統合)や事業の見直しを加速させている。その結果、ビジネスサイクルはますます高速化、短縮化しており、企業には“俊敏さ”がさらに強く求められている。

 この新たな課題への対応に向け、IBMが現在、企業に対して積極的に提案活動を行っているのが、情報のさらなる活用を通じて経営管理の高度化を図るというアプローチだ。具体的には、過去のデータから将来をできる限り正確に予測した上で、各種の計画立案を迅速に行えるようにするとともに、計画の検証期間の短期化を図ることで、企業活動におけるあらゆるPDCAサイクルをより迅速に回せる仕組みを整えようというわけだ。

 日本IBMのIM&BA事業部でBusiness Analytics事業開発Cognos営業部FPM担当の内田辰己氏は「“業務の見える化”をはじめとする従来型の情報活用は確かに有効なものの、それだけでは不十分であり、情報の秘める可能性はまだまだ大きい」と話す。例えば、過去のデータから将来を予測し、事前にシナリオをいくつか描いておけば、変化に対して次の一手を迅速に講じることが可能になるし、各事業部門の経営数値を一元化すれば、為替レートの変動などが経営に及ぼす影響も迅速に把握できる。

「情報をビジネスに活用する手法が進歩を続ける中、予見的なシミュレーションに基づく“予測型経営”に乗り出すことが、企業価値をさらに向上させるためには不可欠なのだ」(内田氏)

予測型経営が秘める可能性

 内田氏によると、予測型経営では事業計画を基に企業全体のパフォーマンス管理が可能になることから、営業やマーケティング、人事などあらゆる部門で業務の可視化や最適化が図られるという。その結果、売り上げ拡大とコスト削減をさらに推進でき、利益を生み出しやすい組織を作り上げることも可能になる。

 だが、その実現までの道のりは決して平坦ではない。まず、各種計画を策定するにあたっては、現場の意見を織り込む作業を欠くことができない。乱降下する経済状況に対応するには、現状を理解する現場の迅速な意思決定が必要であるからだ。意思決定までに多くの時間が費やされることが、これまで計画立案を短期化する上の「壁」となっていた。

 また、予算や予測などの立案に必要とされるデータは、一般的にその取り扱いの容易さから表計算ソフトで管理されてきた。だが、次第に計算が複雑化しマクロが肥大化することによって、ワークシートがいわば属人化し、特定の担当者しか使いこなせなくなるケースも散見された。加えて、データ量の増加に伴うパフォーマンスの低下といった問題もかねてから指摘されてきた。

 IBMのビジネス分析ソリューションである「IBM Cognos TM1」であれば、これらの課題に柔軟に対応することが可能だ。同製品の特徴は、財務情報を用いたビジネス分析、計画値の最適化、業務予測シミュレーションなど、企業が予測型経営を行う上で必要とされる機能を包括的に実装している点にある。つまり、同ソリューションを導入することで、パフォーマンス管理のための多様な仕組みまで迅速に整備できるわけだ。そのために必要とされる期間は「要件定義を含めて約3カ月」(内田氏)という。これによって表計算ソフトに起因する課題を抜本的に解決でき、ワークフロー機能などの活用を通じて計画作成期間の短期化も実現される。

 加えて、専門的なスクリプトを用いることなく、GUIによりシミュレーションで用いる分析モデルを容易に設計することも可能である。その結果、「現場レベルでの利用拡大が見込まれ、製造業における生産から販売、在庫までの流通の最適化や、多大な先行投資が必要とされる製薬業での投資対効果の見極めなど、さまざまな分野で予測型経営の浸透を期待できる」と内田氏は強調する。

 膨大な計算処理に起因するパフォーマンスの低下に対しては、ディスクと比較し100万倍もの高速処理が可能なインメモリデータベースを採用することで対応。リレーショナルデータベースでは「シミュレーションを行うにあたり膨大な数のキューブの作成が求められ、そのために多大な時間が必要」(内田氏)なことを考慮し、OLAP(オンライン分析処理)データベースを採用するなどの方策も講じられている。

 なお、IBMでは、Cognos TM1と同様の機能を備えた中堅企業向けのソリューションとして「IBM Cognos Express」も提供する。同ソリューションは100人程度のユーザーを想定した上で、「計画・シミュレーション」、「レポーティング」、「分析」の3機能をワンパッケージ化しており、まずは小規模で予測型経営のメリットを体験することもできる。

企業戦略を実現するパフォーマンス・マネージメント
企業戦略を実現するパフォーマンス・マネージメント

ビジネス分析と最適化に注力する専門集団

 予測型経営を実践するにあたっては、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入に加え、社内情報を一元的に管理できる全社的な基盤整備も不可欠となる。とりわけ経営戦略を基に財務計画を策定する財務部門などにおいては、収集すべきデータがあらゆる部門に存在しその種類も多岐にわたる。平均的なグローバル企業では、収益10億ドルあたり11種類ものシステムが存在しているとされ、これらの多様なシステムに蓄積されたデータを分析する上で、データ統合などの新たな仕組みを欠かすことはできない。

 また、情報活用はその自由度の高さ故に、どの情報をいかに分析すべきかの見極めが困難だった。同じことは予測型経営にも言え、取り組みに本腰を入れるためには、新たなノウハウを修得することが必要となる。

 これらのことを踏まえ、IBMが2009年4月に設立したのが、企業のデータ分析と意思決定の向上の支援を目的とした4000人規模の組織である「Business Analytics and Optimization(BAO)」である。BAOの母体はIBMが2002年に買収した会計コンサルティング大手、プライスウォーターハウス クーパース コンサルティング(PwCC)であり、BAOには同社がこれまでの会計コンサルティングで培ってきた豊富な知識とノウハウが蓄積されている。BAOがあらゆる部門と連携することで、情報基盤の整備から情報分析に関する各種ソリューションまで一貫して提供できる体制を構築したのだ。

 IBMは、これまでにもCognosの活用方法について、業務や業種ごとにまとめた100種類以上ものテンプレートを無償提供することで、情報活用に関するノウハウの提供に努めてきた。加えて、BAOを設立したことで、金融から公共、流通、製造、通信・メディア、公益までの幅広い業界に対して、高度なコンサルティングサービスを提供できるようになった。

「情報基盤や分析基盤に関する知識やノウハウも長年にかけて蓄積しており、当社であれば企業の情報活用を総合的に支援できる。現在、日本のBAOチームは200人体制だが、年内には500人にまで拡大させコンサルティング活動をさらに強化する計画だ」(内田氏)

 そこでの強みがCognosの高い拡張性だ。現在、多くのベンダーが各種BIツールを提供しているものの、M&Aによって製品ラインナップを拡充してきたベンダーも多く、同一ベンダーのツール間でもデータ連携が困難なことは少なくない。だが、統一したアーキテクチャの下に開発されたCognos製品群であれば、コンサルティングの結果を踏まえ、必要とされる機能を容易に拡張でき、システム全体の最適化も図れるわけだ。

BAOが提供するもの
BAOが提供するもの

継続的な計画の策定で高い精度の予実管理を実現

 実はIBM自身も予測型経営に早くから取り組んできた企業の1つだ。IBMでは過去、予算計画の策定に費やす時間の約3分の1をデータの収集や加工などの業務が占め、検討や分析という高付加価値な業務に十分な時間を割けない状況にあった。また、計画の策定完了までに6カ月もかかっていたために、年度単位でしか計画を策定することができなかった。

 だが、1990年代前半に経営危機に直面したことを機に、同社はルイス・ガースナー元CEOの下、予測型経営の実践に着手した。Cognosと同様のコンセプトのツールを導入し、社内情報の管理基盤を整備した結果、計画策定をわずか2カ月で行えるようになり、ビジネス環境の変化に伴う戦略変更に機敏に対応できるようになった。

「現在、IBMでは3カ月先の計画と実績との差異の原因を分析し、その結果を継続的にアクションプランに落とし込むことで精度の高い予実管理を実現している。その精度をさらに高めるべく、現在、従来のツールからCognosへの移行を進めている最中だ」(内田氏)

 IBMでは、まずは業務の自動化という切り口から情報活用の有効性を企業に訴求するとともに、コンサルティングを通じて各種のデータ分析アプリケーションの導入を推進することで、企業における予測型経営の実現を支援する考えである。経営管理のあり方は今、大きな転換点に差し掛かっているのだ。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2010年3月31日

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