【第20話】プレゼンの極意:内山悟志の「IT人材育成物語」(2/2 ページ)
いよいよ4人の勉強会の成果を部長たちに示すプレゼンテーションが次週に迫っていた。川口は、公式なプレゼンテーションの経験がない4人に、うまいプレゼンテーションの方法について説明することにした。
うまいプレゼンテーションの工夫
川口はテンポよく説明を続けた。
「最後にプレゼンテーションする際のポイントと留意点を紹介しておこう。上手なプレゼンテーションを行うために大切なことは、自分が心地よく話すこと、つまり、ノッテ話すことだ。そのためには、聞いている人の顔をしっかりと見て、その表情を見極めることだ。自分の話を熱心に聞いてくれる人がいる、共感してくれていると思うことで、自信が持てるようになり、自と盛り上がってくるはずだ。よく見られる悪い例としては、プロジェクタに投影されたスライドの方ばかりを向いていたり、自分のプレゼンテーション・メモばかりを見たりしているケースだ。聞く人にしてみれば、全然自分たちを見てくれないので、親近感が持てず、迫りくるものを感じない。結果として、内容に入り込めないのである。時々、聞く人がついつい居眠りをしてしまう光景を目にするが、それは居眠りするようなプレゼンテーションをする人の責任だと考えるべきだ」
「もう1つのテクニックは、述べたいポイントが幾つかある場合に“○○で重要な点は3点あります”というように先に数を示すという方法だ。聞く人は、3点とか4点などと数を示されると、注意が喚起されるし、中にはその瞬間ペンを取る人もいる。
もう1点、重要なポイントとしてタイムマネジメントについて述べておこう。プレゼンテーションの持ち時間の順守である。時間を守れないというだけで、話の信憑性や説得力に大きな傷がつくと考えるべきである。オンタイムでプレゼンテーションを進めるためには、中間点などを設定して、時間を調整しながら進めることが有効である。例えば20分で10枚のスライドを説明しようとした時、5枚目に印をつけておき、これが終わった時に10分とのずれをみるといい」
川口のこの説明の間、4人は時々メモをとりながら引き込まれるように聞いていた。4人は、うまいプレゼンテーションの見本を見せてもらったように感じ、自分はこのようにできるのだろうかと身の引き締まる思いだった。
著者プロフィール
内山悟志(うちやま さとし)
株式会社アイ・ティ・アール(ITR) 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門、データクエスト・ジャパン株式会社のシニア・アナリストを経て、1994年、情報技術研究所(現ITR)を設立し代表取締役に就任。ガートナーグループ・ジャパン・リサーチ・センター代表を兼務する。現在は、IT戦略、IT投資、IT組織運営などの分野を専門とするアナリストとして活動。近著は「名前だけのITコンサルなんていらない」(翔泳社)、「日本版SOX法 IT統制実践法」(SRC)、そのほか寄稿記事、講演など多数。
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