【第1回】イノベーションコンセプトとは何か:イノベーションコンセプト入門(2/2 ページ)
例えばiPhoneとは何かと聞かれ、一言でどのように説明するでしょうか。この場合、Webブラウザやタッチパネルではありません。
イノベーションコンセプトとは、新たに生み出される戦略の本質であり、3つの要素と3つの視点が存在します。3つの要素とは「誰に」「何を」「どのように提供するか」です。これは顧客に提供すべき斬新なベネットや製品サービス、対象顧客の絞込みと理解、製品サービス提供する仕組みとなります。端的なイノベーションコンセプトは、本質を明快に伝え、聞き手を動機付けます。
これらの要素は、3つの視点から眺めることができます。
1つ目として顧客や市場の視点とは、そもそものベネフィット(価値)を創出する出発点でもあり、価値の妥当性を検証します。顧客から見て価値がなければ、事業として成立しません。
2つ目の社外リソースの視点とは、提供すべき価値を社外リソース、つまり提携パートナーやインターネット、異なる業界や環境の事例、そしてほかの販売チャネルの活用にあたります。いかにして実行性を担保するかが論点です。
最後に自社・競合の視点とは、はたしてイノベーションコンセプトが自社や競合よりも優れた価値を提供できるかどうかの差別化ポイントの確立です。
優れたイノベーションコンセプトとは、「誰に」「何を」提供するのか、視点に応じてけるだけでなく、環境に応じても変えていきます。ユニクロは、自社から顧客の視点に立ち変えることで、提供すべき「何を」大きく拡大してきました。
かつては自社独自の視点から、アパレル品を汎用品と位置付け、使い勝手の良い格安衣料品を提供していました。しかし最近ではデザイン性のある女性向け商品からカバン、靴、サングラスから傘まで販売商品を広げています。コーディネイトやデザイナーとのコラボレーションなどから、提供する価値を汎用アパレル品から、ライフスタイルの提案にまで変化しています。
アスクルは、販売アイテムを増やすだけでなく、「誰に」の拡大を図っています。かつては中小企業がメインでしたが、大手法人企業向け取り組み、また個人顧客市場のてこ入れ、さらに上海アスクルを設立し、海外顧客を積極的に取り込もうとしています。大手企業向けにはSOLOELサービスとして「購買業務代行サービス」と SaaS(Software as a Service)による「購買システム」の提供を行い、製品販売だけではない購買サービスを提供しています。
かように優れたイノベーションコンセプトとは、「誰に」「何を」「どのように提供するか」を明快に確立するだけでなく、環境に応じて、また視点を変え、柔軟に対応していくことに意味があります。
次回はイノベーションコンセプトの重要性について述べます。
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