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改善から革命へ 不可能を可能にする時間管理術!ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

与えられた時間はみんな同じだが、時間の生み出し方、効率化は「反常識の仕事術」で変えられる。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。


 約20年間の外資系コンサルティングファーム勤務のなかで、いつもわたしを悩ませ続けたのは時間管理であった。若い30代半ばまでは、仕事の遅れを徹夜で取り戻すことができたものの、次第に体力的限界から無理は効かなくなる。おまけに、40代は、組織全体をマネジメントする仕事の負荷も加わり、はけない程の業務量の洪水に押し流されそうになることもしばしばだった。もともと不得手であった時間管理のすべを自分で考え実践する必要から、いろいろな方法論を試すことになった。

 特に、知的労働や、クライアント、組織のマネジメントという単純労働でない仕事においては、物理時間の管理に意味はない。知力、体力が万全で自分の頭で深く考え集中できる時間である「黄金の時間」をどうやって確保するか、そして仕事のプライオリティと「黄金の時間」の配分をいかにして合致させるかという結構複雑な作業を要請される

効率化は「時間管理十訓」から


『30歳からの成長戦略』

 わたしが、最初に手掛けたのは、企業が事業機会の重要度と、自らの手持ち資源の組み合わせを考えるのと同じ方法で資源配分の枠組みを作り上げることだった。期待成果が高くなく、自分が得意で慣れた仕事をこなすのは、必ずしも「黄金の時間」である必要はない。

 むしろ、少し疲労を感じているような時間帯で済ませ、その分、「黄金の時間」を期待成果が高い重要な仕事に振り向けるために十分計画を立てるようになった。これを企業のプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)になぞらえて、「仕事ポートフォリオ・マネジメト」と名付けた。この方法で、ずいぶんと徹夜をすること無く、頭の働く時間に重要な仕事を行うことが可能になった。これを起点に、いろいろな時間を生みみ出すためのテクニックを編み出すことになった。

時間管理十訓

 時間管理の鉄則をいつでも効率的な時間管理を再現できるようにするために、「時間管理十訓」をまとめてみた。是非、参考にしていただきたい。

1.スケジュール帳は計画書。1日に数回は眺める

2.常に2週間先まで視野に入れておく

3.作業工程の読みは想像力。活動をイメージする

4.自分1人の時間でも来客・会議と同様にアポをとる

5.完全に邪魔が入らないで1人になれる場所を探す。電車、車、便所でも可

6.原則として8〜19時にしか仕事をしない。土日のどちらか片方は完全休養する

7.考える前に材料を頭に放り込んでおく。寝る前が有効

8.できれば昼食などのために外出しない。その分、早く帰る方が得

9.細切れの時間は黄金の時間。仕事は15分単位で切り刻める

10.集中と弛緩のバランスを重視。締めっぱなしも緩みっぱなしもダメ

あまのじゃく精神がわたしを救った

 これらの技術論を通じた改善で、徹夜、休日無しの仕事習慣からは開放された。しかし、次の壁にさいなまれることになった。仕事量が格段に増えたのをこの改善技法は救ってくれなかった。結局、無理をして仕事をし、疲れて集中力を失い、仕事品質が落ちて、締め切り間際にむちゃをするという昔のスタイルに戻ってしまった。革命的な発想転換でもしないことには、バーンアウトは時間の問題だった。

 こういう時は逆転の発想が救ってくれることも多い。大きな仕事に立ち向かい、一刻も早く仕上げなければというストレスの中で、疲れた頭と身体が反応しない。それなら、先に、十分休んでしまう作戦に切り替えた。今までの、集中して疲れて弛緩というパターンを、弛緩して知力、体力を取り戻してから超集中というパターンに切り替えた。その結果爆発的な効率にわれながら驚いた。

 小さな仕事は、集中できる時間に仕上げて、その後、ゆっくり弛緩するという常識的な仕事術でも十分こなせる。しかし、ここ一番の大きな仕事は、その全く逆な反常識の仕事術で実施した。まず弛緩して、集中するというパターンの採用だ。この秘訣(ひけつ)に気付いて以来、わたしのスケジュール張を見るときの視点は、「いつ、ゆっくり弛緩するか」を考えることに変わっていった。先々のアウトプットのタイミングを推し量り、どこで緩んで、どこで集中するかをスケジュール化するようになった。この習慣がついて以来、仕事の効率以上に効果の面で抜群の成果を収められるようになったと思う。実は時間管理の秘訣は集中を考えるのではなく、弛緩を考えることだった。

 仕事に追いまくられて、疲れている方々に言っておきたい。「疲れるなんてもうやめなさい。本当に大きい仕事をするなら、弛緩するすべを覚えなさい。いますぐ休みなさい」と。

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