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ベネズエラ美人と国策としてのスポーツ小松裕の「スポーツドクター奮闘記」(1/2 ページ)

サッカーW杯と同じく、4年に1度開催されるソフトボールの世界選手権に帯同しました。開催地となったベネズエラは、スポーツのほか、美しい女性の育成にも力を入れているのです。

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 女子ソフトボールの世界選手権がベネズエラの首都・カラカスで開催されました。4年ごと、オリンピックの2年前に開催されるこの世界選手権が前回まではオリンピック予選を兼ねていました。

 これまで日本チームは毎回オリンピックの出場権を獲得していたものの、いつも決勝で米国に敗れて世界一になれないでいました。しかし、2年前の北京オリンピックで見事、宿敵米国を破って世界チャンピオンになりました。その後、ご存じのようにソフトボールがオリンピック競技から外れることが正式決定したため、この選手権がソフトボールの世界一を決める唯一の大会となりました。

 日本中が感動した北京オリンピックの金メダルでしたが、もう随分と昔の話になってしまった気がします。今回の世界選手権のことも日本ではほとんど報道されておらず、このコラムで初めて知った読者の方も多いでしょう。そんな中、「バック・ソフトボール」を合言葉に再びオリンピック競技種目に戻ることを目指して、そして再び世界一になることを目指して、選手もスタッフも頑張っています。

アテネ以来の宇津木さんとの早朝トレーニング

 今回の世界選手権に挑む日本チームの監督は北京オリンピックで指揮を執った斎藤春香監督、選手団の団長はシドニーおよびアテネオリンピックで指揮を執った宇津木妙子さんです。

 カラカスに着いた日の夜、さっそく宇津木団長から「明日の朝6時にエレベーター前に集合」との命令が下りました。選手たちにではなく、わたしに対してです。

 翌朝から、宇津木団長と2人きりでの早朝トレーニングが始まりました。選手が宿泊するホテルの地下にあるジムで2人並んで毎朝1時間トレッドミル(ランニングマシーン)をこぎながら、いろいろな話をするのです。

 この2人きりのトレーニングは、アテネオリンピックの時も毎日のように行いました。シドニーで惜しくも銀メダルに終わり、「今度こそ金メダル」と臨んだアテネオリンピックでしたが、思うような結果がついてこなくて、一緒に並んでトレッドミルをこぎながら、宇津木さんの愚痴をよく聞きました。オリンピックの監督は孤独です。結果だけですべてを判断される厳しい世界です。愚痴の1つでもこぼしたくなるでしょうが、選手やマスコミの前ではそんなことは言えません。

 ドクターとしてアテネオリンピックでわたしが最も時間を割いたのが、宇津木監督の話を聞くことでした。北京オリンピックで優勝が決まった瞬間、あのテレビ解説での絶叫には、今までのさまざまな思いが込められていたに違いありません。

 今回もいろいろな話をしました。


「サッカーW杯での日本代表チームの活躍は、スポーツの素晴らしさを皆に実感してもらえて、日本のスポーツ界にとってはすごく良いことだよな」

「子どもたちにソフトボールを教えていると、やはり教育が国の基本だと実感するな」

「今回の大会はベネズエラ政府の力の入れ具合がすごいな。日本でもこういうことができればなあ」


 すべての話に共感しました。

宇津木妙子団長(右)との早朝トレーニング
宇津木妙子団長(右)との早朝トレーニング

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