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ベネズエラ美人と国策としてのスポーツ小松裕の「スポーツドクター奮闘記」(2/2 ページ)

サッカーW杯と同じく、4年に1度開催されるソフトボールの世界選手権に帯同しました。開催地となったベネズエラは、スポーツのほか、美しい女性の育成にも力を入れているのです。

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ベネズエラ全体で盛り上がる

 今回の世界選手権ではベネズエラ政府が国策としていかにスポーツ振興に力を入れているのかが実感できました。真夜中に到着した日本チームを歌と踊りで歓迎するとともに、スポーツ・観光大臣が自ら出迎えてくれました。開会式ではチャベス大統領が来て演説しました。

 本来米国で開催される予定だったこの世界選手権ですが、半年前に米国が辞退したことで急遽ベネズエラでの開催が決まり、わずか半年で新しいソフトボール競技場を2つ完成させました。大会期間中は大会運営に多くの人がかかわりました。試合会場に移動する際には「JAPON」と書かれた日本選手団専用バスが用意され、沿道では多くの兵士たちがバスを警護してくれました。チケットはすべて無料で配布されたこともあり、会場はいつでもベネズエラの人たちで超満員、テレビではすべての試合を生中継しています。この大会運営に30億円投じたそうです。

 政治の仕組みに違いはあるにせよ、とても日本ではできないことだろうなと、うらやましく感じました。

美女の育成も国策

 ところで、「ベネズエラ美人」という言葉をご存じでしょうか。ベネズエラでは、テレビに出ている女性は美女ばかりで、世界的なミスコンでも多数の優勝者を出しています。街ゆく人も肉感的な美人が多い。聞くところによると、これも国策だそうです。観光立国を目指すベネズエラは美人の育成にも力を入れており、国立のエステやモデル学校を設立し、世界コンテストに出る場合には、国がお金を出して候補を育てるのだそうです。

 これは国策としてはどうかなと思ってしまうけれど、国の政策というのは大きな展望やビジョンを持たずには成しえないのだということはよく分かりました。

この少女も将来はベネズエラ美女に?
この少女も将来はベネズエラ美女に?

 さて、今回の日本チームです。予選リーグを7戦全勝とグループトップ通過した日本はプレイオフでまず、地元ベネズエラと対戦し、超アウェーの中、2対0で勝ちました。

 決勝戦の相手は、北京オリンピックと同じ米国でした。残念ながら7対0で敗れ、オリンピックに続く金メダルはなりませんでした。それでも選手たちはよく頑張りました。これからも「バック・ソフトボール」を合言葉にオリンピックへの復活を目指していきます。時々は気に掛けてくださいね。


世界を駆け回るドクター小松の連載「スポーツドクター奮闘記」、バックナンバーはこちら



著者プロフィール

小松裕(こまつ ゆたか)

国立スポーツ科学センター医学研究部 副主任研究員、医学博士

1961年長野県生まれ。1986年に信州大学医学部卒業後、日本赤十字社医療センター内科研修医、東京大学第二内科医員、東京大学消化器内科 文部科学教官助手などを経て、2005年から現職。専門分野はスポーツ医学、アンチ・ドーピング、スポーツ行政。



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