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「一瞬も一生も美しく」の実現に向けたお客様サポートに向けて(前編)資生堂が貫く美学(3/3 ページ)

資生堂のお客様接点となる主たるチャネルは、全国店頭のビューティーコンサルタント、お客様窓口、Webの3つである。資生堂が貫く「お客様」サポートへの美学がかいま見える。

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お客様の声を目に見える形へ

 資生堂では、お客様からいただいた意見や評価を真摯に受け止めるだけでなく、それらの貴重な声を安全で優れた商品づくりやサービス提供のための経営資源として実際に活用している。

 お客様の声が集まるコンタクトポイントは、店舗、お客様窓口、Webがあるが、個々のチャネル特性に合わせて実に多岐にわたる情報が入ってくる。お客様センター長の伊與田智美氏曰く、「お客様窓口に入る要望は非常に幅が広く、社員が気づかない貴重な意見が眠っている」と言い、お客様窓口には年間約20万件もの情報が寄せられるとのことである。

 また全国店頭のビューティーコンサルタントも接客時にうかがった「店頭でのお客様の声」を専用携帯端末機からリアルタイムで入力できるようになっておりこちらも年間約13万件の情報が集まるとされる。その他、Webサイトからは、電子メール以外にも、ネット会員に限定されるが、要望などに関して投稿コンテンツが設けられており、一般の方々へもその投稿内容が公開されている。

 以上のようにさまざまなコンタクトポイントから集まる30万件以上の情報は、商品開発やサービス向上を目的として商品企画・マーケティング、生産、研究部門など全社に反映し総合的に分析管理がなされている。実際にお客様センター内だけで約10人の情報収集・分析・管理に関わる担当者が配置されているという。

 組織横断的に共有された情報はさまざまな形でお客様に届けられる。例えば、「残りの使用量の目安が見える容器にしてほしい」「ゴミ袋の中でかさばって捨てにくい」など実際に使っているユーザーの目線で届けられた声に対応して商品のパッケージを変えたり、ちょっとした機能の追加などがなされたりしている。

 このように集めた情報を組織的に加工し、具体的な組織的活動に結びつけ、見える形でお客様にご提供することにより「お客様志向」を態度で示し続けることが資生堂ブランドのイメージの重要な下支えになっていると考えられる。

 後編では、集めた情報をさまざまな用途に利用している様子を伝える。

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著者プロフィール

森 一恵(もりかずえ)

早稲田大学大学院卒。現在同大学博士課程に在籍する傍ら、早稲田大学IT戦略研究所研究員として活動。主な研究領域は、マルチチャネルを活用した商品および販売戦略、マルチチャネルサービスマーケティング。


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