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放置されたタダ乗り迷惑社員をクビにできないか生き残れない経営(1/4 ページ)

タダ乗り社員の存在は許せない。解決策として、「規制改革によって再編・淘汰」「あるいは事業構造改革のための整理解雇を容認」し、生産性の向上を図らなければならない。

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増岡直二郎氏による辛口連載「生き残れない経営」のバックナンバーはこちら


 「“解雇解禁 タダ乗り正社員をクビにせよ」

 何とも一見歯切れがよくて痛快な特集記事が、「週間ダイヤモンド」2010/08/28号に掲載されている。その要点である。「高度経済成長期に企業は、」「終身雇用、年功序列という生活保障のための雇用システムが出来上がっていた」「だが、日本経済は長期低迷に入った。企業の収益力は低下し」「日本の労働生産性はOECD先進国中、下位レベルに甘んじている」

 タダ乗り社員の存在は許せない。解決策として、「規制改革によって再編・淘汰」「あるいは事業構造改革のための整理解雇を容認」し、生産性の向上を図らなければならない。

 確かに、「タダ乗り正社員」については「整理解雇を容認」したいものだ。特集記事では、セイフティネット整備を条件に可能であるとするが、簡単でない。企業人は(頭脳)労働を提供することによって、身分や生活の糧が保証される。保証だけを求めて、労働提供を惜しむことを「タダ乗り」という。クビにできるならしたいものだ、と誰しも思うだろう。

 妻に不動産業をやらせ、ほとんど外出で常に所在不明の「私生活中心型」部長代理に都内から四国へ転勤命令を出して、退職に追い込んだ例がある。与えた仕事もろくにやらず、屁理屈ばかり並べ立てる50歳過ぎの「無気力型」係長をラインから外して閑職につけたら、そのうち辞めて行った例もある。

 しかし、こうしたケースは特例であり、無理がある。頻繁に使える手ではない。しかし、本当に彼らを何とかしないと、企業に与える悪影響は計り知れない。具体策が必要である。

 「タダ乗り社員」対応について、「フリーライダー あなたの隣のただのり社員」(河合太介・渡部幹共著、講談社)には具体論が展開されている。しかし、よく読むと何となく物足りない。本書では、企業における「フリーライダー」をインタビューに基づいて4分類し(1.アガリ型:一丁上がりベテラン社員、2.成果・アイディア泥棒型:人の手柄横取り社員、3.クラッシャー型:自分の実力勘違い社員、4.暗黒フォース型:相手のやる気削ぎ達人社員)、その上で分類別に、組織および個人としての対応策について解説する。

 しかし、フリーライダーの生まれる原因分析がいまひとつあいまいで、分類の仕方についても、「一丁上がり」や「人の手柄横取り」は現場にいることはいるが多くはないし、周りに与える影響も少なく、わたしの経験からして大勢を把握している分析に思えない。しかも、最も重要な解決策、「ビジョン・方針の明確化、敗者復活、結果でなくプロセス評価の重視、一貫性を持った戦略推進、透明人事」などなどが、経営管理一般論としても充分通用する内容を列挙したもので、フリーライダー対策として心にストンと訴えてくる内容ではない。

 1つの試みとして、以上とは異なる視点からの分析と見解を提案したい。ただし、字数が限られるので、概論に止まってしまう。

 「タダ乗り」タイプについて、もっと現実的で、全体をとらえた分類を試みたい。そのためには、タダ乗りの原因を分析し、その原因から分類するのが妥当と考える。その原因分析の一つの参考として、「NPO GEWEL」の「ベンチマークサーベイ2010」(ビジネスパーソンの働く意識調査日米比較2009.12)がある。この調査によると、日米のビジネスマン意識に大きな差があり過ぎるほどあり、日本の場合は多くの問題があることを示している。この調査で負の回答をするビジネスマンが、「タダ乗り」の供給源になるのだろう。この調査結果を利用したい。

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