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反復型BPMが創出する、アジリティと競争力というパワー企業の「実験力」とは何か(3/3 ページ)

10月29日に開催された 第17回 ITmedia エグゼクティブセミナーのテーマは「顧客基点の業務プロセス改善」。これまでも幾度となくあらゆる場所で語られ続けてきた、身近だが難しいテーマを、日本アイ・ビー・エムの中林真太郎氏は「実験力」というキーワードでひもといてみせる。

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短期間で一定の成果を上げ、改革を継続させる

 現在A社では世界各地で働くコールセンタースタッフが返品に関する管理を行い、四半期ごとに200万ドルのコスト削減を継続的に実現している。そしてA社では引き続き、業務プロセス変革を行っているという。中林氏は次のように話す。

 「多くの事例で3カ月で最初の大きな問題点を明らかにし、それを改善するプロセス変革を成し遂げました。もちろんそれだけですべてが解決したわけではありません。ゴールなき取り組みが続けられています。通常のBPMプロジェクトでも3カ月で一定の成果を上げることは大変難しい。BPRとなると、改革の成果を見せるまでに数年かかるケースもあります。しかし、業務とビジネスの最適化を目指して完成度の高いプロジェクトを長年にわたって行うことは難しくなっています。それだけ、変化のスピードは速いのです」

 短期間で一定の成果を上げるプロセス改革を積み重ねていく。こうした手法が今世界中の企業で採用されているのだという。改革にかかわる1つ1つの積み重ねは、業務に精通した現場スタッフが上げる情報で構成された仮想的なプロセスの数々だ。業務のポイントごとに豊かな知見を持つプロフェッショナルが存在し、彼らの知見によって業務が進んでいく。経営側もそうした現場の力を尊重してきたといういきさつが多くの日本企業にはある。

 中林氏はそうした日本企業には、スピードを重視し、完成度にこだわりすぎない短期決戦型のBPMの手法を身につけるべきなのではないか、と説く。

 高いレベルの「実験力」を備えた企業は、当然実験を迅速に、正確に行う道具を持っている。クラウドベースで情報収集、整理に大きなメリットをもたらすツール、そして現状のプロセス全体を可視化し、あるべきプロセスを探し出すツールである。「1時間の処理を30分にするには?」「2人で行う作業を1人にするとどこがボトルネックになるのか」といった実験ができる「業務プロセス研究所」とでもいうべきバーチャルなラボ施設こそ、業務プロセスをなかなか変えられない企業に必要なものだといえるのではないか。

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