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守る40代、攻める50代――エグゼクティブ転職の意外な実情ヘッドハンターの視点(3/3 ページ)

ここ数年間、わたしが携わった案件で転職した方の平均年齢はいくつだと思いますか。

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 以前、日本進出を決定した外資系(A社)のスタートアップメンバーの採用をお手伝いした時のことです。A社は本国の米国では大成功を収めており、満を持して日本進出を決め、1年で100人ほどの規模にしたいと計画していました。その急成長を支えるためにスタートアップメンバーの1人には経験ある人事部長が必要不可欠でした。

 業界を調査し、複数の方にお会いして、大手企業(B社)の人事部長(Cさん)で条件にぴったりの方を見つけました。B社(今はもうありませんが)はリストラの真っ最中で、当時の彼の主な仕事は退職勧奨でした。

 Cさんは多少リスクがあってもA社で前向きな仕事を元気にやりたいと思っていました。インタビューも順調に進み、次は米国本社に飛んで最終インタビューという段階に来た時、Cさんから「妻に転職を反対されています。“有名企業にいるのになぜそんなことをするの? 誰も聞いたこともないような会社に行くなんて絶対ダメ”と言っています」と連絡がありました。A社は米国では有名でしたが、日本ではまだ知名度が低く、奥様は社名も聞いたことがありませんでした。

 しばらくして「転職するなら離婚すると言われました」と、ホトホト疲れたご様子での電話がありました。転職か離婚の選択ならば、考える余地もありません。「残念ですが、現職で頑張ってください」とお伝えし電話を切りました。

 2週間ほど経ってからCさんから「先日の案件まだ決まっていませんよね? ぜひ転職したいので、すぐにでも本社に飛びます!」とお電話を頂きました。「何があったんですか?」と聞くと、ひょんなことから奥様が親しい方からA社が大変素晴らしい会社だという話を聞き、態度が180度変わったとのこと。

 たまたま、その時にはまだ案件が決まっていなかったのですぐに本社に飛んで頂き、とんとん拍子に話が決まり、Cさんは無事にA社に転職しました。後にCさんの活躍もありA社は日本で急成長しました。

 ただ、本当にこれは「たまたま」まだ決まっていなかっただけで、多くの場合、チャンスの天使には前髪しかありませんから。

著者プロフィール

岩本香織(いわもと かおり)

G&S Global Advisors Inc. 副社長。米国の大学を卒業後、アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア)入社。東京事務所初の女性マネジャー。米国ならびにフィリピンでの駐在を含む8年間に、大手日系・外資系企業のビジネス/ITコンサルティングプロジェクトを担当。 1994年コーン・フェリーに入社、1998年外資系ソフトウェアベンダーを経て、1999年コーン・フェリーに復帰。2002年から2006年までAsia/Pacificテクノロジーチームの代表。2010年9月より現職。


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