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2011年はどんな年伴大作「フクロウのまなざし」(3/3 ページ)

常日頃、『木漏れ日』と『フクロウの眼差し』という2本のコラムを執筆していて悩んでいる。

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2011年の展望

 兎年だから「ジャンプの年」なんて、はしゃぎたいが、日本をめぐる国際政治・経済情勢はそんなに生やさしいものではない。国内政局もおととし、民主党が政権を獲得したが、リーマンショックの影響が尾を引いて、なかなか景気は上向かない。むしろ、2010年前半の欧州の金融危機と米国の金利引き上げの影響を受け、極端な円高が進み、企業の投資マインドは一挙に低下した。また、投資をするにしても、長期的な人口減の傾向が進む日本市場の先行きに見切りをつけ、海外投資を加速させている。

 これらの現象の背景に高齢化と人口減が大きな影響を投げかけているのは明らかで、何もしないなら長期的に日本経済は人口減少と同期して縮小する。その影響は民間企業のみならず、電力や鉄道のようなインフラを担う企業の活力も奪ってしまう。さらに、特に過疎地では最大の雇用の受け皿となっている地方自治体が財政破たんすることを意味する。

 また、視点を海外に転じても、日本企業が国際的な優位を確保し続けるのか、どの個別市場でも疑わしい。欧米が経済回復でつまずく中、東アジア、南米、中東の産油国は相変わらず活況を呈するのは間違いないだろうが、その国が、求めるモノやサービスを日本から調達してくれるかどうかはアブダビの原子力発電所、世界で進む高速鉄道建設計画を見る限り未知数だ。むしろ、当初ライバルと目していたカナダのBombardierやフランスのAlstom、ドイツのSiemens、原子力ではGE、フランスのArevaより、技術を供与された韓国や中国の企業にも脅かさ初めている。

 もちろん、家電など耐久諸費財でもこの傾向はさらに顕著で、一部の製品分野では韓国のSamsungやLGに、PCは台湾のAcerやLenovoに、自動車は韓国の現代にという具合で、ライバルと目される中台韓企業の方が市場を圧倒している。

 2011年、新たな有望市場と目されるモバイル・ブロードバンドおよびスマートフォン市場、HDTV市場でも韓国勢が先行し、日本企業が追い上げる構図は変わらない。

 経済産業省が新たな産業分野として育成を試みるアニメやサブ・カルチャーなどのコンテンツ分野でも、成長の構図が見えてこない。もちろん、エネルギーや資源、食料等の分野で日本企業がリーダーシップを握る事など不可能としか思えない。

 そうなると、日本人と日本企業はどの分野で2011年に始まる「2100年代」はお先真っ暗という結論になりそうだが、僕はそこまで日本が落ちることはないと考えている。確かに、アジアの人々は教育レベルも向上し、勤勉さも向上したが、まだまだ、日本人の優秀さには届かないと感じる。問題は、いまだ旧来の縄張りとか秩序に頼る経営者であり、業界指導という錦の御旗を掲げる官僚だ。

 この部分が近代化されたら、さまざまな分野で日本は競争力を取り戻せると信じている。そのためには、日本航空が倒産したように、痛みは伴うが、従来の企業文化を根底から覆すような大きなショックが幾つも起こる必要があるのかもしれない。

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