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オフショアBPOから見える、クロスボーダーなビジネス女流コンサルタント、アジアを歩く(3/4 ページ)

本稿では、改めて、日本企業のアジア新興国進出パターンを整理した上で、オフショアBPOが持つ将来的な可能性について検討する。

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オフショアBPOサービス提供の海外展開

 オフショアBPOサービスのパターンを整理したが、(1)の日本市場志向型オフショアBPOの場合、および(2)の現地市場志向型オフショアBPOの場合における現地日本企業に対するサービス提供については、既に実例が存在している。これら以外のケース、すなわち、日本企業がサービス主体となって、アジア新興国に拠点を置き、海外企業に対してサービス提供するケースを実現するためのアプローチについて、まず、考えたい。

 結論から言うと、アジア新興国に進出しようとする日本企業とともに、日本のBPOサービス企業もサービスの幅を広げていくというアプローチによって、オフショアBPOサービス提供の海外展開を実現することができる。

 アジア新興国進出パターンを思い出していただきたい。日本企業が(ア)の日本市場志向型、(イ)の現地市場志向型のパターンでアジア新興国に進出した際に、その日本企業がアジア新興国に設けた現地事務所や現地法人を対象に、(2)の現地市場志向型オフショアBPOのパターンでサービスを開始する。これが日本のBPOサービス企業が行わなければならないことだろう。

 ここで、アジア新興国現地の商習慣や規制等のみならず、グローバル市場の共通的なニーズや標準的なプロセス等の知見を蓄え、実践していくほかない。これが礎となって、現地ローカル企業、現地海外企業、さらにはグローバル市場のあらゆる海外企業にもサービス展開する道が見えてくるはずだ。

 では、オフショアBPOサービスの提供を世界に展開する際の問題、「日本企業がサービス主体であることによる価値は何なのか」という問題についてはどうか。

 この問題のヒントは、日本企業が成長してきた理由と、現在厳しい状況にある理由から導くことができる。日本企業がかつて世界から絶賛されたのは、徹底した品質管理とコスト削減であったが、これは日々のたゆまぬプロセス改善とプロセス管理から生まれたものであった。そして、現在、アジアの諸企業に追い上げられ、厳しい状況に追い込まれているのは、その素晴らしいプロセスを模倣したアジアの諸企業が、より安い人件費を使って商品を生産しているからである。いくつかの日本企業はさらにプロセスを磨き、そのプロセスに沿って商品を生産するが、そのプロセスもいずれ模倣され、追い上げられている。この循環が続いているのである。

 つまり、日本企業の強みというのは、プロセスそのものではなく、プロセスを日々見直し、改善していくことができるところなのである。これこそが世界に誇れる点だ。そのように考えると「日本企業がサービス主体であることによる価値は何なのか」と言えば、それはビジネスプロセスを日々磨き上げることができることである。

 日本のBPOサービス企業は、単純にビジネスプロセスを受託するのではなく、受託したプロセスを磨き上げる。これを世界に売っていくということが、オフショアBPOサービスを海外に提供し展開するということではないだろうか。

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