真のプロの姿勢から学ぶ――「仕事に幸せを感じる働き方」:経営のヒントになる1冊
著者はこれまでに3000人以上の転職希望者と会ったものの、この先に成功すると感じたのはわずか10人に過ぎなかったという。その理由とは何か。
人材紹介大手のインテリジェンスが20、30代のビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、2010年に転職した、あるいは転職を検討した人は全体の3割に上った。年齢別に見ると、25〜29歳で「転職した」人は9.8%と、10人に1人が2010年に入ってから転職したことが明らかになった。
なぜ人々は転職するのか。その理由を聞くと、上司とうまが合わない、仕事にやりがいを感じない、給料が安い……など、さまざまな意見を耳にする。そうした状況に対して、そのほとんどが「逃げの転職だ」と著者は言い切る。著者が常務を務めるSBIモーゲージの業務拡大に伴い、3000人以上と面接したところ、「この人は転職先で活躍できる」と確信したのはわずか10人、そのほかは現状からの逃避に過ぎず、転職は失敗すると感じたという。
著者がそのような考えを持つに至った背景には、自身の苦い経験がある。かつて著者は、営業成績が悪くて上司から叱られ、酒を飲みながら会社や上司に対する愚痴や不満をぶちまけるという、“ごく普通の”サラリーマンだったという。しかしやがて、そうした振る舞いや行動は何も生み出さないことを痛感する。きっかけとなったのは、どんな仕事であっても成功する人には共通する「考え方」があることに気付いたからだ。
実は著者は、小学生の時に最年少落語家としてデビューしており、当時間近で接していた笑福亭鶴瓶氏や立川談志氏など一流の落語家から、仕事に向き合う真摯な姿勢など、プロとしての働き方を学んだ。この経験も著者の仕事観に大きな影響を与えている。
ビジネスパーソンにとって仕事に関する悩みは尽きない。そうした中において、なぜ働くのかという、その根底を見つめ直すとともに、成功者に共通している考え方を仕事で悩む多くの人々に伝えたいというのが本書のメッセージである。
第一線で踏ん張るビジネスマンや、彼らをマネジメントする経営層に一読を薦めたい1冊だ。
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