キャリア形成の道しるべに――「外資系トップの仕事力II」:経営のヒントになる1冊
ボストン コンサルティング、ポルシェ ジャパン、マイクロソフトなど外資系企業の社長の人物像やキャリアをひもとくことで、改めて仕事の本質を見つめ直す契機になるという。
本書は10人の外資系トップが自らの体験に基づき、仕事論やキャリア論を語るシリーズの2作目。トップ10名の話に共通するのは、与えられた仕事に全力を尽くす誠実さ、自分を伸ばすために困難な仕事を選ぶ成長意欲、成功してもさらに高みを目指す謙虚さのようだ。
外資系トップというと、華やかなキャリアばかりが注目されがちだが、各々の経歴に隠れた仕事に対する高い意識のほか、困難な状況や辛い選択に追いやられたときに、それらを力強く乗り越えてきた様子が語られており、「成功者とはどのような人間で、何を考えてキャリアを積んできたのか」ということが読み取れる。
10人の外資系トップは、消費財、IT、金融、コンサルティング、メディカル、製造業などさまざまな業種から、多様なキャリアを持った人物が登場する。前作「外資系トップの仕事力」で登場した、MBA取得者、コンサルティングファーム出身者という典型的な外資系トップのイメージとは違ったキャリアの方が多く登場しているのも読みどころの1つである。
本書で興味深く感じるのは、最初から綿密なキャリアプランを描いていた人はいないということだ。彼らに共通しているのは、偶然の出来事や人との出会いの中からチャンスをつかみ取っていることである。人との出会いをきっかけに転職を決めたトップもいれば、予期せぬことから大きな成功体験を得たトップもいる。
彼らの仕事に対する真摯(しんし)な姿勢や成長意欲、成功しても決しておごらない謙虚さは、読者に心地よい緊張感と高揚感を残すだろう。
これほどまでに価値観が多様化した現在では働き方もさまざまだ。正社員、派遣社員など雇用形態だけでなく、「働く」ということそのものに対する考え方も多様化している。しかしその中でも、仕事を通して成長したい、実力をつけてさらに上のポジションを目指したいと考えるビジネスパーソンは確実に増えている。
本書は、外資系企業だけでなく新たなキャリアを求める幅広い層に対して道しるべとなる1冊といえよう。
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