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見返り?お返し?それとも……ヘッドハンターの視点(1/2 ページ)

ヘッドハンターを続けられた大きな理由の一つは、無責任なようですが、「自分がいつも正しい訳ではない」という当たり前のことに気付いたからでした。

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 わたしが15年もの長期間ヘッドハンターを続けられた大きな理由の一つは、無責任なようですが、「自分がいつも正しい訳ではない」という当たり前のことに気付いたからでした。今回はそれに関連したお話です。

 ご存じの通り、欧米諸国のレストランなどではサービスに対してチップを、(少なくなってはいるようですが)日本では旅館などで心付けを渡す習慣があります。この2つは似ているようで違います。ほとんどの場合チップはサービスを受けた後に渡し、受け取る人は提供したサービスへの見返りとしてチップを受け取ります。(チップの習慣がある国ではサービス業に従事する人達の時給は、チップを見越して低く設定されていることが多いそうです)逆に心付けは基本的にサービスを受ける前に「お世話になります」の気持ちを込めて渡し、受け取った人はお返しする気持ちでより良いサービスを提供するよう努めます。この違いはそれぞれの地域の給与制度の違いにもでていると感じていました。

 欧米では、成果主義に基づいた給与制度の企業が多く、前回の記事、「クセモノ “On-Target Earnings”」に書いたOTEでいうと基本給:ボーナスの割合が70:30はかなり保守的で、50:50も珍しくありません。逆に日本企業の場合70:30はかなりアグレッシブで、夏冬で2か月分ずつのボーナスが出ても75:25の割合になります。

 ITバブルが弾けるまでは外資系でも日本法人の給与制度は地域性を特別に考慮し、基本給:ボーナスが80:20または75:25くらいが一般的でした。ITバブルの時代には業績目標を大きく超えるケースが多かったため、結果的に保守的なスキームでは損をしたような気分になった人さえいました。

例えば、外資系A社の日本法人で働くBさんはOTEが1000万円で基本給:ボーナスは80:20、米国本社のCさんは同じくOTEが1000万円で50:50でしたが、どちらも160%業績目標を達成した場合:

 Bさんのボーナスは200万円の160%で320万円、年収は1120万円です。

 Cさんのボーナスは500万円の160%で800万円、年収は1300万円です。

 ただし、これは100%を超えてもボーナス計算の上昇率が加速しない場合です。

 100%を超えた分は2倍で計算する制度で同様に160%業績目標を達成した場合(100+60×2=220):

 Bさんのボーナスは200万円の220%で計算され440万円、年収は1240万円です。

 Cさんのボーナスは500万円の220%で計算され1100万円、年収は1600万円です。

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