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SEのコミュニケーション能力向上がITを「武器」に変える〜その4エグゼクティブのための人財育成塾(3/3 ページ)

東日本大震災は、日本に大きな傷跡を残した。福島原発の問題も抱えながらの復興は容易ではない。しかし、この大惨事を日本の再生の契機にしようという力強い取り組みも始まっている。「スマートジャパン」への脱皮、そこでは言うまでもなくITを「武器」として活用することが求められる。このような変革を実現するためには、IT企業、そしてSEの付加価値の高い「提案力」が不可欠である。震災からの復興、失われた20年からの再起、そこで求められるSEの提案力を磨くためのポイントはどこにあるのだろうか?

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ITの技術に関する知識、今後に対する考えを持つ事はベース

 ここまでどちらかと言うとSEが弱い、今後磨いていくべきと筆者が考えるポイントに関して書いてきましたが、最後に基本中の基本に関しても触れておきたいと思います。それは、ITの技術に関する事で、上流SEにも現場SEにも共通です。最近は、リテラシーの高いユーザーも増えましたが、ITに対して苦手意識を持っているユーザーもいまだに多く、知識があっても断片的、表面的な事も少なくありません。そのようなユーザーに対し、SEは分かりやすい提案を行わなければなりません。

 そのためには、そもそも現在のIT技術がどうなっているか、今後どのような変化が起こるか、この変化に対し先も見据えた上でどのようなITソリューションを導入すべきかを普段から調査し、考えておく必要があります。いわゆる「テクノロジーウォッチング」です。個人ベースで実践する事はもちろん大事ですが、現在の多岐に渡るIT技術を1人でカバーする事は不可能です。組織でカバーする必要があるでしょう。

 組織内で領域ごとの担当を決め、継続的な情報収集を行うと同時に、定期的な部門勉強会などで知識の共有と新しい技術を採用する場合のメリットやリスクに関しての議論などを行う必要があります。

 SEはこの継続的な活動で共有した知識・考えをベースに、ITを「武器」とするためにはどのようなソリューションにすべきかを提案するのです。その提案では、何がどう変わるのか、その効果がどこにあるのか、適用するためにかかる費用と時間はどれぐらいなのかといったことをユーザーに分かりやすく伝えることが重要です。上流SEは「鳥の目」を持って、現場SEは「業務理解」をベースとして、投資対効果を最大化する提案を行って下さい。

 最後に、東日本大震災からの復興においても、ITに関わるかたがたからこのような観点を持った、多くの有意義な提案を期待します。日本の復興に向けて一緒に頑張りましょう。

著者プロフィール

井上 浩二(いのうえ こうじ)

株式会社シンスターCEO。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、1994年にケーティーコンサルティング設立。アンダーセンコンサルティングでは、米国にてスーパーリージョナルバンクのグローバルプロジェクトに参画後、国内にてサービス/金融/通信/製造等幅広い業種で戦略立案/業務改善プロジェクトに参画。ケーティーコンサルティング設立後は、流通・小売、サービス、製造、通信、官公庁など様々な業界でコンサルティングに従事。コンサルタントとしての戦略立案、BPRなどの実務と平行し、某店頭公開会社の外部監査役、MBAスクール、企業研修での講師も務める。


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