問題がないという部下が問題:ビジネスマンの悩み相談室(1/2 ページ)
指示したことをきちんとこなし、問題なくことを運んでいる部下は本当に問題がないのだろうか。問題ないと捉えた時点で次への成長を止めてしまっている場合がある。あなたの部下は大丈夫だろうか。
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「最近はどうだ? 」と聞いて、「何も問題ありません」と答える部下はいないだろうか。わたしは問題ないという部下こそ問題なのではないかと思っている。今回は、「問題ないという部下」についてお話ししたい。
<事例>
ある部品メーカー営業部のD部長は、新しく配属されてきた部下のLさんのことで悩んでいた。定例会議の後でD部長はLさんに声を掛けてみた。
部長:Lさん、最近仕事はどうだい?
Lさん:ご指示いただいたことはすべて順調に進んでいて、問題ないです。
部長:そうか。最近クライアントの○○さんと接する中で何か思うことはあるか?
Lさん:いつも優しく接して下さって、大丈夫だと思います。
部長:特に最近気づいたこととはないか?
Lさん:何も。
部長:そうか。
Lさんは頭が切れ、とても優秀なのだが、指示されたこと以外のことをまったくしようとしない。D部長は、言ったことはきちんとやるものの、すべてに「問題ない」と言うLさんをどうしたものかと考えてしまった。
問題ないという部下は成長を止めてしまっている
指示したことをちゃんとこなし、問題なく事を運んでいるLさん。一見すると、なぜ彼女に問題があるのだと感じるだろうか。しかし、「問題ない」という部下にこそ実は大きな問題があるのである。「大丈夫」「問題ない」と言った時点でどのようなことが起きているだろうか。
- 成長しない
- 自発的に行動しない
- チャレンジしない
- 考えない
「問題ない」と発言した時点で、まずは成長が止まってしまう。問題ないのでそれ以上何かをしようとせず、成長が止まるのである。
次に、自発的に行動しなくなる。与えられた仕事、指示された仕事はするものの、それで問題ないと思うので、自発的に行動しなくなるのである。何かにチャレンジしようとも思わないだろう。背伸びをする、ストレッチした目標に向かって頑張るということをしない。
最後に、考えなくなる。指示されたことをそつなくこなし、それで問題ない、今のままでいいと思うので、何も考えなくなる。「考える力」が身につかないのである。
「問題ない」と言っている人がいることで周りに悪い影響を及ぼすことも多い。水が流れずに1カ所にとどまると濁るのと同じで、職場もそのままでいいという人がいたら、雰囲気がよどむ。指示されたことはやるもののそれでいいという雰囲気が、職場全体にまん延してしまうのである。新しい人が入ったり、何かにチャレンジしようという人がいないと、職場は活性化しない。
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