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“鉄砲”を使いこなすためには適材適所の人材配置をスマートな経営のためのラウンドテーブル(3/3 ページ)

スマートフォン、クラウドといった新たなIT機器やサービスの登場で企業における経営の在り方も変わりつつある。各社が判断に迷う中、iモード立上げメンバーの1人、夏野氏が今後いかにITを使いこなすべきかを語った。

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業界構図はビジネスモデルで正しく理解

 クラウドとスマートフォンの登場で何が起こったのか。夏野氏は3点挙げた。

 1つは、業界の進化が通信業界からネット業界主導になったことだという。

 「徹底したネットユーザーセントリックの時代になったがために、国内キャリア各社が自社でサービスを立ち上げるとなるとハイリターンであると同時にハイリスクでもある。そのため、業界進化の主導権を放棄したキャリアの土管化が加速している」(夏野氏)

 供給側ではなく完全にユーザーの都合でサービスが進化していくため、キャリアはそのスピードについていくのがやっとの状態だという。国内キャリアは自社の通信網をいかに整備していけるかが今後の課題になるだろう。

 2つ目は、業界の大変化だ。一見、業界の構図を理解するのが困難に思えるが、夏野氏によれば、各社のビジネスモデルを把握すれば容易に判断できるという。国内キャリア、Google、Appleを例に挙げると、まず、国内キャリアの目的はネットワーク使用料を最大化することにある。そのためにデバイスを用意し、モバイル向けのポータルサイトを整備するといった方策が取られてきた。

 一方、Googleの主な収益源は今のところネット上での広告掲載によるものだ。今やネットユーザーの多くが検索でGoogleを利用していることだろう。すると、インターネットに接続するためのものを作ればよいことになる。Androidの無料提供もその一環といえよう。

 最後のAppleはハードを強化するためにiOSを立ち上げ、iTunesといったサービスを提供している。つまり、Appleの軸はあくまでもハードであり、ネット企業ではないのだ。そのため、例えばiPhoneやiPadにはGoogleが提供するメールや地図サービスを利用できるアプリが標準で搭載されているように、AppleはGoogleと競合していないことが分かる。

 3つ目は、業界ごとに垂直統合型のビジネスモデルが成り立つ時代になったことだと夏野氏はいう。講演後の参加者とのディスカッションでも「これからは、ものづくりというよりもハードとサービスを含めた総合的な“仕掛けづくり”が必要だ」と述べ、加えて「単体製品だけを作っている企業は利幅が薄くなり、もはやどんどん弱体化する一方」と、今の日本の携帯電話業界に警鐘を鳴らした。日本企業はモバイル分野で世界でも先行しているためその強みを生かせるはずだが、このアドバンテージがあるうちにかなり大胆な施策を打ち出す必要があるという。

 「ITという現代の鉄砲で武装し、それをいかに使いこなして将来の成長につなげるかが、今後の日本企業の未来を左右することになるだろう」(夏野氏)

 夏野氏は最後にこのように述べ、今回のラウンドテーブルは幕を閉じた。

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