外国でプレゼンテーションを行う場合、言葉の壁のせいで、完全な理解が得られないことはよくある。通訳がつくなら、話すスピードは遅めにするよう配慮したい。英語でプレゼンするときも、やはりゆっくりと、簡潔な文章と単語を使って話すこと。
折に触れて、聴衆がプレゼンについてきているか、内容を理解しているかを確認するのも大切だ。質問を投げ掛けてみて、聴衆の反応を探るのである。プレゼンの間に聴衆の集中が途切れてしまったり、プレゼン後に大半の聴衆が内容を忘れてしまったりする事態はぜひとも避けねばならない。そのためにも、聴衆の様子と態度をよく観察しよう。彼らの理解度ばかりでなく、発表内容に肯定的なのか否定的なのかを推し量ることもできる。
聴衆の抱いている感情を教えてくれるサインには、次のようなものがある。
退屈している
肘をつき、手のひらで頭を支えるようにしている。
納得している
両手のひらを組み、しばしば人差し指を上に向けて(興味深い、という気持ちを表す)あごや頬のあたりに軽く添えている。
考えをまとめている
頬をなでている(これも関心を示す)。
初っ端が肝心
プレゼンをより楽しく、分かりやすいものにするコツも紹介しよう。
並列構造
「努力していきます」「満足してもらえる仕事をするつもりです」「会社やわれわれ自身のためにより良い未来を築きます」といった、強調しておかねばならないポイントを聴衆の心に刻みつけ、覚えておいてもらうには、反復的な文章構造を採用する。
三点主義
人は「3つの〜」に惹かれることを覚えておく(3つのキーポイントや3つの問題など)。
アンチテーゼ
正反対のものを提示すると、聴衆の関心と反応を引き出せる(新システムのセットアップに対する賛否両論など)。
修辞疑問文
聴衆に働き掛けることが可能になる(何かアイデアを提案するなど)。
プレゼンで最も重要な部分は、「初っ端」だ。聴衆が発表内容に興味を抱き、和やかな雰囲気を醸し出してくれるなら、それに越したことはない。特にテーマが難解な場合、プレゼン中には前向きな空気が必要である。冗談が「話の糸口」になる国は多いが、ユーモア感覚は地域によって違うし、ある国では受けてもほかの国ではしらける可能性もあることを覚えておこう。冗談を口にするのは、現地の聴衆や文化についてよく知っているときだけだ。
プレゼンを始めるのに最適な話題は、次のようなものである。
- (先に誰かがプレゼンをした場合)前の講演者について
- プレゼンを催したイベントについて(特徴や性格などを中心に)
- 開催地について
読者諸氏のプレゼンがうまくいきますように!
著者プロフィール
ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)
ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。
世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。
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