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終焉を迎えた、集客モデルWebビジネス成功の秘訣(2/2 ページ)

WEBビジネスの歴史を知り、かつ次のステージにおいて先行して事業を伸ばしていくためになにをすべきか?

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 そう、みんな勘違いしていたのです。市場もショップも伸び続けると。そして、これだけの短期間で売り上げを拡大できた自分は優秀であると。実は、市場に一気に追い風が吹いただけ、だったのでした。(ITシステムの業界はすでに経験していることだと思います。ソーシャル関連の業界が近々こうならないか心配ですが……)

 2009年の前半から、明らかに今までとは違う風が吹き始めました。まず広告投資が通用しなくなりました。例えば、40万円の広告投資をしても、80万円の売り上げしか返ってこない。ショップの商品原価が50%ならトントンですが、広告出稿のためのWEBページ作成など手間を考えれば赤字です。

 最初は、「ちょっと効果が悪いな。写真がお客さまにウケなかったのかな?」などと思い、以前と同じ必勝法を続けるのですが、40万円の広告投資で60万円しか売り上げがとれないようなことが数回起こると、「あれ、これはおかしいぞ!?」ということになってきます。当然、これを2009年の前半に気づければよかったのですが、実際にはもっともっと後です。わたしは2010年の後半にやっと気づきました。2009年以前のビジネスモデルから脱却しきれていないショップもまだまだたくさんあると思います。

 国の統計などをみれば、ネット通販の流通は伸びているようですが、現場の感覚から言うと、とにかく1店舗あたりの売り上げが伸びません。広告投資が効かなくなると、いろいろなところに歪みが表れてきます。

 まず始まるのが価格競争です。とにかく今売らなければ会社が回らないわけですから、値下げして回転を上げようとします。さらに即日配送など、サービス面でも他店との差別化を図ろうとするため、在庫の負荷が高くなります。広告投資リスク、価格競争、在庫リスクを抱え、ショップが規模を保てなくなってきます。利益に直結するわけですから、危ない橋です。それに加えて、参入障壁の低さから、ひたすら増え続けるネットショップの競合。どの販売チャネルも需要と供給のバランスが、供給側に傾き始めます。

 また、状況が反転し始めて初めて気づいたのが、社内の人材育成を怠ってきたことでした。売り上げが伸びている状態しか経験していないので、状況を変えるだけの粘りがない、ノウハウを共有できていない。向かい風のため頑張っても売り上げが上がらない、むしろ落ちていくので、意欲も一緒に下がっていく。生産性は悪くなる一方だが、しかし固定費は変えられない。こんな状態が、2009年の前半から今日まで続いているわけです。

 今回、まず理解してほしいことは集客モデルでのWEBビジネスはすでに終わっているということです。ネットショップでもWEBサービスでも、WEBサイトを作り、WEB広告をかければ収益化する時代ではないです。

 以前のソーシャルゲームやソーシャルアプリなど、相当な追い風が吹いているWEBビジネスに乗ることができれば話は別ですが、起こる風を予測する力と止まる風を予測する力が必要と考えれば、なかなか難しいものになるのではないでしょうか。(厳密に言えば、ソーシャルゲームやソーシャルアプリもいま参入しても遅いです。)

 それでは、どうすればいいのか?

 次回は、WEBビジネスの突破口とデータマーケティングの概念について伝えます。

プロフィール

石田 麻琴

早稲田大学第一文学部卒業後、インターネット通販ベンチャーに6年間勤務。ネットショップ店長として、1年間で売上7000%アップ、年商3億円を実現。ヤフーショッピングカテゴリ第一位を獲得。インターネット通販を中心としたマーケティング支援/マーケティング人財の育成を目的とした株式会社ECマーケティング人財育成を設立。有力EC/Web企業を支援。船橋情報ビジネス専門学校特別講師など人材育成にも注力。その他、商工会議所での講演、新聞やWebでの連載など。BPIAのWebビジネス研究会ナビゲータ。


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