検索
連載

データマーケティングで成功をつかむために、おさえるべきポイントとは?Webビジネス成功の秘訣(2/2 ページ)

データマーケティングにチャレンジしようするとき、データの組み方とマーケティング分析の方法について、どのように考え、どのように取り組んでいけばいいのか。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

 後者のデータを使った「直接的なアプローチ」は、端的に言えば「1to1マーケティング」を実現するためのデータ活用です。「顧客属性データ」を基点にして、「行動履歴データ」と「利用履歴データ」を組み合わせてセグメンテーションすることで、お客さま一人ひとりに対して最適な提案をすることができます。例えば、WEBサイトに会員登録しているお客さまにメールマガジンを配信する際のセグメンテーションとアプローチとして、「過去3ヵ月以内に商品Aのページに15秒以上滞在したお客さま、かつ商品Bのページに15秒滞在したお客さまのうち、20%が商品Cを購入している。

 この20%の以外の80%の未購入のお客さまに対して、商品Cの割引クーポン付きメールマガジンを、それぞれの会員のログイン時間に合わせて配信する」というようなことが可能になります。大量のデータを複雑に組み合わせることになるので、なかなか容易ではありませんが、データマーケティングの発想次第で、よりお客さまに付加価値の高いアプローチができるわけです。

 追加でもうひとつ。サービスを利用したお客様の「満足度、評価、レビュー」をデータ化することができれば、さらに深いマーケティングが可能です。従来のデータ分析の考え方では、「リピートしてくれていれば、お客さまは満足している」という判断しかできませんでした。しかし、「満足度、評価、レビュー」のデータを組み合わせることによって、お客さまがそのサービスに「十分満足していて」リピートしているのか、「満足していないが仕方なく」リピートしているのかが、判断できるようになるわけです。当然、後者の場合には、サービスの競合が出てきたときのリスクが高い状態だと言えます。さらなるマーケティング分析法として、この手法もぜひ覚えておいてください。

 これまで「Webビジネスを成功に導く」ためのデータ活用の原理原則、データの種類、データの組み方、マーケティング分析法について書いてきましたが、最後にデータマーケティングを進め、成長させていく上で最も重要なポイントを伝えます。この3つが原理原則です。

 まず1つ目は、「実行すること」です。あくまで取得できるデータは、何かしらのアクションを起こしたからこその産物です。日々の仕事、施策の実行があるからこそ、データが変化していくわけです。釈迦に説法ですが、データ分析だけでは、決して成果は上がりません。データ分析後は、必ず「次に何をすべきか」をセットで考えるようにしてください。単なる現状把握だけで終わらないようにしていきましょう。

 2つ目は、「続けること」です。アクションを起こして収集したデータを分析すれば、宝の地図のように財宝の場所が分かるわけではありません。データはコンパスのようなもので、自分が向かいたい方向にきちんと向かっているのかを指し示してくれるための道具です。施策と分析を何度も何度も積み重ねていくことで、目的地に近づいていくのです。続ければ続けるほど精度が上がり、最適化が図れます。

 最後に3つ目は、「人を育てること」です。企業の理念や方向性、サービスへの想いや魅力を一番理解しているのは、自社の社員です。ですから、本質的に言えば、データ分析を外部の企業に頼るのではなく、自社の社員が「どのようなデータが取りたいか。どのようなデータを取ればいいか」を自らの力で考えられなくてはいけません。データを読める人、そしてデータの読み方を教えられる人を、少しずつでも着実に社内で育成できる仕組みをつくっていきましょう。人材育成ついては、また機会があれば紹介したいと思っています。

 上記の3つを守れば、データ分析で先行することができます。データマーケティングという、自社の強い柱ができることでしょう。

 全3回という限られた中ですが、主なデータ活用について記しましたので、まとめて読み直し、ぜひデータマーケティングを自社のWEBビジネスに生かしてもらえればと思います。

プロフィール

石田 麻琴

早稲田大学第一文学部卒業後、インターネット通販ベンチャーに6年間勤務。ネットショップ店長として、1年間で売上7000%アップ、年商3億円を実現。ヤフーショッピングカテゴリ第一位を獲得。インターネット通販を中心としたマーケティング支援/マーケティング人財の育成を目的とした株式会社ECマーケティング人財育成を設立。有力EC/Web企業を支援。船橋情報ビジネス専門学校特別講師など人材育成にも注力。その他、商工会議所での講演、新聞やWebでの連載など。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る