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廃止寸前から人気路線に復活した「五能線」 再生のカギは“全員野球”の組織地方創生のヒントがここにある(2/3 ページ)

観光列車ブームの火付け役となった「五能線」――。実はもともと廃止寸前の赤字路線だった。五能線を観光路線として復活させたJR秋田支社の取り組みから、地方企業活性化のヒントを探る。

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“スーパースター不在”でも戦える

photo 「五能線物語」

 廃止寸前だった五能線を人気路線へと立て直したJR秋田支社――。この事例から企業が学ぶべき要素について遠藤氏はまず、“スーパースター不在の組織”でも復活できたことにポイントがあると話す。

 「企業が飛躍するためには日本にもスティーブ・ジョブズが必要だ、カリスマ経営者が必要だと言うけれども、スーパースターがいなくても結果は出せるということをJR秋田支社が教えてくれた」(遠藤氏)

 例えば同社は、絶景を楽しんでもらうためにわざとスピートを落とす「サービス徐行」をはじめ、車内では「津軽三味線の生演奏」「なまはげイベント」――など、現在も観光客から好評を博しているさまざまなアイデアを出してきた。

 しかし、外部から経営のプロを雇ったり、今ではよく耳にするようになった地方創生コンサルトの力を借りたわけではない。以前から勤務している“普通の人たち”が人気路線へ変えるための知恵やアイデアを出し、五能線を変えていったのだ。

 「地方創生を語るとき、『東京から優秀な人(経営のプロやコンサルト)を送り込まないとダメ』『よそ者、バカもの、若者が地方を変える』という話をよく聞くが、“外に頼らないと地方は元気にならない”という世間の考え方に一石を投じたのではないだろうか」(遠藤氏)

 また、遠藤氏はスーパースター(カリスマ)不在の経営こそ、日本が目指すべきスタイルだとも説明する。

 「カリスマがいればスピード感は増す。しかし、依存してしまうとカリスマがいなくなったとき、組織が一気に弱くなってしまうというリスクがある。それでは組織として進化できない。代わりを用意するにしても、日本には孫正義氏や柳井正氏のような人がたくさんいるわけではない。だから日本が見習うべきは同社のような“全員野球”の組織だ」

photo 秋田県の伝統行事でおなじみの「なまはげ」が車内に現れる(出典:JR東日本秋田支社 公式Facebookページ)

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