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ASEANに求められる技術革新――ASEANにおけるIoT/Industry 4.0の潮流飛躍(3/4 ページ)

技術革新や高付加価値化というと、日本や欧米などの先進国が中心と思うかもしれないが、近年それはASEANにおいても重要なテーマとなっている。

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Roland Berger

2.3 段階的に進むASEANローカル製造業の高度化

 ASEANに拠点をもつグローバル製造業は、ナイキやユニリーバのように先端技術の導入を進めているが、ASEANのローカル製造業においても、今後技術革新・高付加価値化が進んでいく。

 ただし、グローバル企業とローカル企業では課題・ニーズが異なる。例えばインドネシアやベトナムなどのローカル企業の技術革新は、自動化や省人化よりは、まず工場で働く人員の効率化や、手作業によるアウトプットの品質向上など、身近な課題の解決を解決する観点で進んでいくと考えられる。

 また、生産コストが高く高付加価値製品を製造するシンガポールと、その他ASEAN諸国でも技術革新へのニーズは異なる。シンガポールは高付加価値で多品種の製品をいかに効率よく生産するか、というマス・カスタマイゼーションや、高い人件費を抑えるための自動化ニーズが高い。

 アークストーン(シンガポール)は、ローカル製造業に対して技術の高度化を支援するベンチャー企業であり、人員効率化や品質向上、生産性モニタリングなどのソフトウェア・ソリューションを提供している。同社のシステムは、やや古いマシンでも対応できるように工夫をしたり、一定の情報は手作業で入力してデータ処理負荷を抑えたりするなど、ASEANの顧客が使いやすい仕様となっている。

 また、アークストーンはASEANでIndustry 4.0の普及を目指すコンソーシアムSIMCO(Singapore Manufacturing Consortium)をリードしている。SIMCOにはRFIDを用いたトラッキングソリューションを提供する会社など、ローカル製造業を支援する6社のベンチャーが参画している。

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