職場の「やりづらい人」を「仕事タイプ」から把握し対処する方法:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
上手に相手と協働するためには、どんな「枠組み」を基に話し行動しているかを把握することが必要。
そして、タイプ診断テストを通じて読者の一人一人が自分のタイプ(例 想像力ゆたかな小説家タイプ)を知ることができます。さらには、この8つのタイプ同士が話をする36通りの対話例をあげ、その際にどんなコミュニケーション上の問題点が生まれるか、を明らかにします。
続いて、上記の問題点の解決策が提示されます。具体的な方法としては、視点、思考、行動のそれぞれの次元をさらに2つに分解し(下記の表参照)、それらの多様性と特徴を明確に把握しながら、それぞれのタイプと協働する言葉のかけ方、協働への誘導の仕方を明らかにします。
最後には、8つのタイプのそれぞれが、組織内のどのようなフィールドで力を出せるか、どのようにタイプを組み合わせると良いチームができるか、などについて豊富な具体的事例を提示します。
全編、「あるある」事例のリアリティーを基に、体系性と有用性を両立させた記述になっていると思います。
この本を通読すると「苦手な人がなぜ苦手か」、が分かります。さらには、その「苦手な人と仕事ができる」ようになるためのヒントがつかめます(好きにはなることは無理かもしれませんが)。そして、「自分の視点の持ち方、思考のパターン、行動の重点項目の傾向」が分かります。合わせて「自分の強み、弱み」、さらには「今後のキャリア開発の方向性」も見えてくるかもしれません。
特に将来マネジメント層を目指す場合には、(1)自分の癖を把握し、(2)他者を理解するヒントを得て、さらには(3)どんな人とも協働できるハイブリッド能力の重要性、を理解してもらえるのではないでしょうか。実はこの(3)のハイブリッド能力こそが、将来トップマネジメントになる人に求められる能力であり、これまでのいろんな領域の仕事を経験する単なるジェネラリストに代わる、「真のジェネラリスト」として、不確実性に翻弄(ほんろう)されるこれからの組織のリーダーとして特に必要な資質なのです。
長年、いろいろな組織を見てきましたが、どの組織も本来持っているポテンシャルの半分も生かせていません。個人レベルで塩漬けになっている知識やノウハウ、無用な感情的対立、だからあいつはダメなんだというレッテルの張り合い、議論になっていない水掛け論、延々と続くポジショントーク、こういった残念な状況を打破することを目的に本書を書きました。不快を減らし、互いの知恵を生かし、生産性を上げる方法。ぜひご一読ください。
著者プロフィール:秋山進
リクルートに入社し事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人などさまざまな団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織構造設計、人事制度設計などのプロフェッショナルが集まるプリンシプル・コンサルティング・グループを主宰し、代表取締役を務める。著書に『「一体感」が会社を潰す』(PHP研究所)など。
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