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第3回 人間関係からスモールハピネスを生み出す「スモール・ハピネス」で仕事も生活もポジティブになる?!(2/2 ページ)

スモール・ハピネスのオリジンともいうべき人間関係に焦点を当てて、そこから得る方法について考えてみたい。

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 ただ、仮にあなたがアイドル的な容姿に恵まれていても、スモール・ハピネス人生としては、一足飛びでスターの座を狙うよりも、長期間にわたりスモールなステップを刻み、途上のスモール・ハピネスを味わい尽くし、そのおまけで結果的にスターになる方が王道である。

ポイント4:質をねらう

 1つの人間関係でも、良質の関係であればそこから生まれるスモール・ハピネスの質も高まる。何が良質かは2つタイプがある。

 1つは、万人が欲しがるような質的な関係で、例えば仕事上で極めて重要な人や社会的な大物との関係である。そのような人たちとのつながりができれば相当のハピネスに結実するだろう。そういう関係は「コネ」ともよばれることにちなみ「コネクター作戦」とよぼう。

 もう1つの「良質」は、自分の趣向や趣味にあわせた「良質」だ。音楽やスポーツや歴史といった趣味を共有できる相手との関係は良質になりやすい。そういう相手を狙うのは「マイ・テイスト作戦」だ。他の人からみると何でこんな人との関係をつくるのか疑問視されようが、マイ・テイストにそった「良質」であれば少しも悪くない。むしろ、恋愛と同じく、対人趣向性のユニークさは、レッドオーシャンを避ける賢さとなりえる。蓼食う虫は好き好きであり賢明である。

 コネクター作戦で大物を狙う場合も、まずは、身近な相手(自分と同ランク)との関係で着実にスモール・ハピネスを得ていくのが流儀だ。そのうちに、その相手が出世してくれれば、相手との関係がコネにアップグレードする。意外な趣味を持つ大物はけっこう多いので、マイ・テイスト作戦でつながった相手が大物になることもあるだろう。

ポイント5:多様性をねらう

 関係づくりにおいては、量や質をねらうだけが能ではない。それまで自分の関係者の中にみあたらない異質の人との関係をつくることで多様性を増すことにも意味がある。それは即、ハピネスの多様性に通じる。

 異質性に富む多様な関係を追及するには2つの作戦がある。

 1つは、自分が関係する相手をみ見たときに全体として多様であるように、毛色の違う人たちを狙って関係を築くという「全体で多様」作戦だ。さまざまな国の人々やさまざまな世代の人々と関係をつくるのが典型的な例だ。

 もう1つの作戦は、個人として多様性を兼ね備えた人をねらって関係を結ぶ「個人で多様」作戦だ。例えば、多趣味な人とか、専門性をたくさん持っている人とか、理系・文系両用の人などをねらう。どちらの作戦であろうと、あなたの人間関係が多様になれば、あなた自身の多様性センサーの性能が高まるので、スモール・ハピネスのスコープがぐっと広がる。

ポイント6:自分らしいポジショニングを見いだそう

 人間関係に関連してスモール・ハピネスを得られるのは、ポイント1と2で人間関係をつくるとき、すなわち、「個々」の関係形成でつなぐときだ。それとあわせて、ポイント3、4、5で人間関係の網を作っていけば、自分の人間関係「全体」とその中で自分が占める「位置やポジション」からも、スモール・ハピネスが生まれる。最後にこの点をみておこう。

 図3を見てほしい。その中で、「〇」は個人を示しノードといわれ、「―」は個人間の関係を示しリンクといわれる。


図3:量、質、多様性を追求すると、ネットワークのご褒美も待っている

 この図で赤い星の人は多くの人とつながっていることを示す(「次数中心性」を持つといわれる)。それは人間関係の量を増やすことに努力を重ねてきた人であり、その結実として人間関係の中心、いわば、社交の中心に位置する。こういうポジションを得る人は多くの場合、社交好きな人であるから、その人にとってはそういう位置付けで存在すること自体が幸せそのものだろう。

 同じ図の中で、緑の星の人は諸グループの中心人物とつながっている。つまり「肝心な人」とつながっている(「媒介中心性」を持つといわれる)。質の追求を続けてきたコネクターが、いわばその到達点として質的な中心に位置し、重要人物とのコネクションを誇る。そのポジションを生かして、貴重な情報を得たり、ビジネスのクロージングに成功することは、コネクター冥利につきるだろう。

 図の青の星の人は、2つないし複数のグループの間に空いた穴(structural hole)を埋めていて、ブローカーといわれる。異質で多様な関係を求め続けた結果、こういうポジションを手に入れ、それがゆえに、多様でエキゾティックな情報やビジネスの機会に恒常的に恵まれるだろう。異質性・多様性好みの人にとって、願ってもないハピネスだろう。

 あなたは、こうしたポジションを得るまでにもスモール・ハピネスをたくさん味わうのだが、つまるところ、人生の終盤戦ではどのポジションに到達したいだろうか。

著者プロフィール:キャメル・ヤマモト

本名、山本成一。学芸大学付属高校卒、東京大学法学部卒業後、外務省に入省。エジプトと英国留学、サウジアラビア駐在等を経て、人材・組織コンサルタントに転身。外資系コンサルティング企業3社を経て独立する。専門は企業組織・人材のグローバル化・デジタル化プロジェクト。

また、ビジネスブレークスルー大学と東京工業大学大学院でリーダーシップ論の講義を担当。人材・組織論を中心に20冊余りの著作がある。近著は『破壊的新時代の独習力』(日本経済新聞出版)


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