第2回:構想力の高い人は、「3つの認識」から自分なりの世界観を構築することができる人:マネジメント力を科学する(2/2 ページ)
もともと天才的にというよりも、仕事をやればやるほどどんどん視野が広くなっていく人がいる。そういう人は将来、構想力を持てるだろう。
これはまさに、今回のコロナ禍や現在のウクライナ戦争でのロシア・ウクライナを中心とするサプライチェーンの問題で起きていることでもあります。
自分の足で情報を稼ぎ、自分の頭で考えて、案を作っている人は、第一案がダメになった時に二の矢、三の矢があります。パートナーやベンダーを使うことは決して悪いことではなく、業務の効率化や自社内でやることを自社のコア業務・付加価値を生む業務に傾斜させるメリットがあります。しかし、自らが考え行動している人と、商社や代理店に丸投げしているだけの人との差は経年で大きくつくのが事実です。
「構想する力を持つためには、本当の意味でちゃんと仕事をやり続ける意識と行動を持つ人でないとダメだということですね。今回のコロナで、あらためて感じたのではないでしょうか」と秋山さん。ほんと、その通りですね。
構想力を鍛えるにはアウトプットが不可欠
時間認識についても同様に、自分の頭で考える癖が大事です。
当コラムを読んでいる皆さんなら認識の通り、競争ルールや業界のルールは常にどんどん変わっていきます。IT、コンピュータの世界が一番分かりやすいですよね。汎用機の時代があって、クライアントサーバになり、クラウドになった。それに合わせて使っているツールから何から、全部が変わる。
「今はどういうパラダイムの中で生きている」「でも、もしかしたらこういうことがあるかも」など、よその業界も見ながら自分なりに常に考える。
不易流行と言いますが、どんどん様変わりしていくものをキャッチアップし、あるいは先取り予測し、同時に通底して変わらない原理原則を抑える。そんな思考と行動がマネジメントには欠かせません。
構想力のある人の7つの思考・行動に、「偉い人の追従ではなく、持論を臆せず表明できる人である」「他者からの評価に依存せず、自己を定義して動く人である」という項目があります。
「構想がどう鍛えられるかというと、自分がまず発信することですよね。やっぱり言ってみないとフィードバックももらえない。黙って、自分でノートを書いて「こうだ」と言っても改善しないし、レベルアップもしていかないので」と秋山さん。
構想力を鍛えるには、発信が欠かせない。言ったり、レポートを書いたりすると、それに対してフィードバックがもらえて、初めて構想力が上がっていくのです。
時にはボコボコにされることもありますが(笑)、絶対にボコボコにされたほうがよいということで秋山さんと僕とで意見は一致しました。
堂々と自分なりの考えを作って述べてみることが構想力を磨きます。ぜひ、皆さんもトライください。
ちなみに経営者力診断では、「構想力(描く力)」の有無を評価するポイントとして、「広く市場の動き、事業環境に目配せできているか」「自分なりのビジョンを創出しているか」「ビジョンや構想を戦略や組織に落とし込んでいるか」を見ています。ぜひ受検してチェックしてみてください。
著者プロフィール:井上和幸
株式会社経営者JP 代表取締役社長・CEOに
早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。その後、現リクルートエグゼクティブエージェントのマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援などを提供している。2021年、経営人材度を客観指標で明らかにするオリジナルのアセスメント「経営者力診断」をリリース。また、著書には、『社長になる人の条件』『ずるいマネジメント』他。「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日経産業新聞」「週刊東洋経済」「週刊現代」「プレジデント」フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「WBS」その他メディア出演多数。
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