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第14回:ビジネススキルとしてのEQの価値・意味、使い方マネジメント力を科学する(1/2 ページ)

経営者やリーダーが発揮すべきEQ、「感情的知性」のファーストステップは「心の鍵を開ける」こと。

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 エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。

 過去4回に続き、いまグローバルのトップクラス経営者たちから2020年代の必須ビジネススキルとして認識されている「EQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)」について、株式会社EQ会長の高山直さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けいたします(2022年10月13日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:EQを高めて経営者力を発揮する!」)。

EQ発揮のファーストステップは「オープンネス」

 経営者やリーダーが発揮すべきEQ、「感情的知性」のファーストステップは「心の鍵を開ける」ことだと高山さんは言います。

 「オープンネス」と言いますが、自分の心をいつも開いておくことが大事です。心を閉ざしているリーダーや経営者には、部下も心を閉ざします。それでは心理的安全性が担保できません。

 部下が上司に本当のことを言わない。上司が本音を聞きたくても聞けない。あるいはそもそも上司が部下の本音を聞こうとしていない。

 「だから僕は、<共感力>みたいなものが一番重要だと思っています。それと、感謝、感動です。<共感・感謝・感動>ですね。やっぱり感動する経営者とかリーダーには、人がついてきますよ。そう言うと、“感動ってなんですか?”って聞かれるんですけどね(笑)」(高山さん)

 感動といっても、別に大きな出来事じゃなくてよく、今日、外を歩いていると晴れやかな空気に季節を感じた。これも感動。「これを感動と捉える感性が大事なんですよ」と高山さんは言います。

 確かに私たちの身近には、常に感動の種がたくさんあり、その積み重ねで、大きい感動が生まれます。「そこに感動しない感性の経営者やリーダーだと、ついていきたくないよね」(高山さん)

感動、感謝、共感に意識を向ける

 高山さんはこんな風にも言っています。「感謝も実はすごいEQスキルなんです。感謝すると“ありがとう”と言いますよね。そうするとコミュニケーション力が鍛えられます。また、状況を見ていないと感謝できないんですよ。つまり「感謝する」ということは、「場の空気」「雰囲気」「情景」への観察力を使っているんです」

 EQの指標に「状況判断知性」がありますが、まさにこれを指しています。「ありがとう」とか「何かに感謝している」ということは、それだけで高山さんの挙げる能力を2つも使っているのです。

 また「共感」についても、筑波大学心理学の相川充教授が指摘していますが、進化心理学上、人間は「共感」できることで集団としての関係性・集団の力を結集し、種としてここまで生き残っているそうで、組織を率いる経営者・リーダーは、この「共感する力」こそ基本だといえるでしょう。

 このような「感動」「感謝」「共感」に、すでに意識が向けられている場合はそのまま受け取ればよいのです。

 ただ、慌ただしくしていると、こうしたことに意識がいっていないときがあるでしょう。もし「ちょっと向けられていないなぁ」という時は、意識だけでもしておくことが大事です。別にずっとでなくてもいいので、ふとした瞬間、外に目をやるなど。

 あるいは簡単そうで難しいかもしれませんが、いつも自分に問いかけて「今の気持ちは?」など常に自分の気持ちを自分で聞いてみると効果的です。

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