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第23回:部下に自己決定感を持たせることの大事さと、その具体的な方法マネジメント力を科学する(1/2 ページ)

自己決定感が担保できるとモチベーションが高まる」という法則がある。同じ決定内容でも、上司など他の人が決めたことには反発し、自分が決めたことには同意する。人間の心理とはそういったもの。

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『できるリーダーは、「これ」しかやらない』

 エグゼクティブの皆さんが活躍する際に発揮するマネジメント能力にスポットを当て、「いかなるときに、どのような力が求められるか」について明らかにしていく当連載。

 マネジャーやリーダーが抱える悩みやプレイングマネジャーの仕事の任せ方などについて、ベストセラー『できるリーダーは、「これ」しかやらない!』の著者で、らしさラボ代表の伊庭正康さんと当連載筆者の経営者JP代表・井上との対談の内容からお届けする第3回です。(2022年9月9日(木)開催「経営者力診断スペシャルトークライブ:できるマネジャーは、「これ」しかやらない!」)

部下に自己決定感を持たせる仕掛けや仕組み

 「自己決定感が担保できるとモチベーションが高まる」という法則があります。

 「自分たちが決めた」「自分が決めた」ということが大事で、ボトムアップの意味はここにあります。同じ決定内容でも、上司など他の人が決めたことには反発し、自分が決めたことには同意する。人間の心理とはそういったものなのですよね。

 私自身、以前に、上長として部のメンバーたちに提案したことに難色を示され、「じゃあ、みんなで考えてみて」とお願いしたところ、2週間後に上がってきた提案が私が先日提案した内容と一緒だったということがありました。内心、「なんだ、先日言った通りじゃないか」と思いましたが、ここはぐっとこらえて(笑)、「おお、いいね、これで行こうよ!」と話を進めたのです。これでいいんです、みんなが「自分たちで決めた」と思ってコミットしてくれることが大事なのですから。

 この観点から言えば、自己申告制で目標やテーマを決めさせるのが良いでしょう。「僕は・私は、これをやります・これくらいやります」と。

 負けず嫌いの部下に対して、乗せ上手な上司は「そんな程度でいいの?」などとけしかける。すると部下は「いやいや、もっとやりますよ」とストレッチ目標を張ります。何を隠そう、私自身がこの負けず嫌い部下で、思えば昔、随分と乗せられて自ら目標をあげてしまったりもしていました。

 一方ではなかなかそういったすり合わせや、自己申告ができるメンバーばかりではありません。そのようなときに効果的なのが、提案制度を導入することだと伊庭さんは言います。これこそ「自己決定感を担保する簡単な方法」で、職場改善の提案の機会を作って上司が提案を受けるというシーンをあえて作り出すのです。1on1ミーティングで提案を受けるというシーンもありえます。

 このように提案を受ける機会を「提案制度」や「1on1の機会」によって作ります。そうすると自ずと上司から「どうしたらいいのかな?」と聞く場面を持つことになりますので、上司や会社のほうから設定はしているのですが、メンバー本人のほうでも自己決定感が担保できるのです。

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