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「攻めのIT」と「攻めるIT」で社会の交通の安全と豊かな人生の実現を目指す――ABDi則末修男社長ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(2/2 ページ)

「100年に1度の大変革期」を迎えた自動車業界において、「小売業としての進化」、および「小売業からの進化」に取り組んでいるABDiでは、守りのIT、攻めのITだけではなく、「攻めるIT」によりモビリティ社会を支え続けるインフラの実現を目指している。

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 一方、攻めのITでは、来店したお客様の動向を動画で撮影し、AIでリアルタイムに画像分析を行い、最適なタイミングで接客するための「滞留通知システム」や、専門的な知識を持つスタッフを本部のコンタクトセンターに配置し、店舗スタッフが対応できないときにオンラインでお客様の問い合わせに答える「オンライン接客」、ピット担当の店舗スタッフだけでなく、本部の熟練者がピットからのさまざまな問い合わせに対してリモートで回答する「PIT遠隔支援」などの仕組みを構築している。


IT活用で競争力や収益性を向上するさまざまな取り組みを展開

 則末氏は、「オートバックスでは、タイヤコーナーが屋外に設置されている店舗が多く、真夏や真冬に店舗スタッフを店外に配置することが難しいので、攻めのITのソリューションの展開が有効になります。また少子高齢化により店舗スタッフの採用が難しい現状において、いかに少人数で効率的に接客をするかが重要なポイントであり、最適な接客で高い価値をお客様に提供するために攻めのITは必要不可欠です。今後も攻めのITにより、店舗DXを推進していきます」と話している。

「守りのIT」と「攻めのIT」の取り組みだけで本当によいのか

 IT活用によりリスクやコストを低減する守りのIT、およびIT活用により競争力や収益を向上する攻めのITだけで店舗DXを推進することはできない。そこで善循環を生かした「攻めるIT」の取り組みも必要になる。善循環とは、「オートバックスグループ向けに品質のよいシステムを提供する」「システム開発のノウハウが蓄積される」「そのノウハウをサービス化して外販する」「外販によって高められた技術力をオートバックスグループに還元する」という取り組みの繰り返しで実現される。

 則末氏は、「善循環を生かした攻めるITにより、ABDiとしてITを活用したより良い価値の提供を実現できると考えています。この善循環は、アフターカーマーケットにおいて、ABDiにしかできないモデルだと考えています。中期計画でモビリティライフのインフラ構築を目指していますが、オートバックスセブングループで培ったノウハウを生かし、グループ会社や協力会社を含めたオートバックス経済圏を確立することで、業界全体に価値を提供できるプラットフォーマーとしてビジネスを推進していきます」と話す。


オートバックス経済圏というプラットフォーマーとしてさまざまな事業を展開

 攻めるITの取り組みとして、2025年2月に「安心ピットカメラ」をリリースした。安心ピットカメラは、AIカメラを利用し、来店したお客様の車両が整備されている状況をライブ、また作業後3日間見ることができるサービスである。「Pi・Po・Pa!(ピポパ)」と呼ばれる自動車保険販売支援ソリューションも提供している。これは、自動車保険証券をタブレット端末で撮影するだけで、現在とほぼ同じ条件、かつ複数の保険会社の見積もりを同時に提示することができるサービスである。

 則末氏は、「クルマのメンテナンスは、医療によく似ています。医者が治療するときには、患者にエビデンスも含めて治療方法を丁寧に説明してくれます。クルマのメンテナンスも同じで、安心ピットカメラによりお客様に対してクルマがどのように整備されているかを、しっかりと伝えることができます。またPi・Po・Pa!(ピポパ)により、お客様は今の自動車保険を継続するのか、あるいは他社に乗り換えた方がよいのかを容易に判断することができます」と話す。

 安心ピットカメラ、Pi・Po・Pa!(ピポパ)の仕組みは、オートバックスセブングループだけではなく、全ての自動車整備事業界に提案、提供していく計画だ。これにより、アフターカーマーケット領域、自動車整備業界そのものの活性化を目指している。これらABDiの攻めのIT、攻めるITの取り組みに関しては、オートバックスセブンの豊洲本社(東京都江東区)2階に展開している「デジタルラボ」で体感することができるので、もし興味があれば連絡してほしい。

 則末氏は、「繰り返しになりますが、ABDiでは『社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現を目指して』というパーパスの実現に向けた取り組みのイメージをオフィスに掲げています。クルマにつながる白い線が情報であり、提供するサービスです。ABDiでは、地上を走る車も、空飛ぶ車もデータを通じてコミュニケーションしながら事故のない世界、渋滞のない世界、外出先で何不自由なくさまざまなコンテンツを楽しむことができる世界の実現を今後も目指していきます」と話し講演を終えた。


お客様にとっての「モビリティライブのインフラ」をグローバルで目指す

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