なぜ働く時間が減っても疲れが取れないのか? 睡眠コーチが暴く「疲労回復の常識」の誤りと正しい休養術:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
働く時間も減り、便利になり、リラクゼーションも充実しているのに、なぜ疲れている人が増えたのか。それは疲れの取り方が間違っているからだ。本当に効果がある8つの疲労回復法とは。
疲労回復は正しい順番で
角谷氏が最も強調したのは、疲労回復には正しい順番があるということだ。「出す」「休む」「充電する」の3ステップを順番通りに実行することが重要だという。
第1段階の「出す」では、温泉やリカバリーウェアで疲労物質を出すだけでなく、壊れた細胞を分解・排出することが必要だ。また角谷氏が推奨する「鬼速片付け」で、物を「捨てる」「保留」「戻す」の3つに分類しながら音楽に合わせて体を動かすのも効果的だ。
通常の片付けでは「捨てる」と「戻す」の2択で判断するため、ゴミ以外はほとんど戻してしまい1割程度しか減らない。しかし3択にすることで、本当に必要な物は2〜3割、明らかなゴミが1割、よく分からない保留が5〜6割に分かれる。音楽を聞きながら反射的に仕分けることで、運動効果もあり、最終的に物が半分程度になる。デジタルデトックスや、頭の中のモヤモヤ、やりたいこと、好きなことを書き出すジャーナリングも頭の中のゴミを出すのに効果的だ。
第2段階の「休む」では、完全に休むことが大事で、ファスティング(断食)が効果的だ。ただし完全断食ではなく、「第4世代ファスティング」と呼ばれる美味しくて苦痛が少ない食品を使った方法を推奨している。
また、デジタルファスティング(デジタルとの距離を置く)やソーシャルファスティング(人とのつながりを一時的に休む)も効果がある。目と脳を休めるデジタルファスティングに加え、人と会うことを一旦控えるソーシャルファスティングは意外に思えるかもしれないが、疲労回復には非常に重要だという。そして深いノンレム睡眠をしっかり取る。
第3段階の「充電する」では、自然に触れ、足りない栄養素を補給し、発酵食品などで腸内に善玉菌を入れ、腸内環境を整える。心と体を健康にするセロトニンや、家族や友人とのつながりや愛を感じるオキシトシンなどの幸福ホルモンを補充することで充電できる。
「これら全てにお金はほとんどかかりません」と角谷氏は強調する。いきなり充電したり、いきなり休んだりするのではなく、この3つのステップを少しずつでもいいので順番に充電していくことが疲労回復の鍵だという。
週末だけで疲労を完全回復
角谷氏は、この3つのステップを週末だけで実行できる具体的なスケジュールも紹介した。土曜日の朝から片付けや洗濯で環境を整え、土曜のお昼から午後前半で軽めのランチ後、頭の中とデジタルのゴミを出し、夕食から腸内の老廃物を出す食事をする。
日曜日は朝にゆっくり体のメンテナンスを行い、ランチはスープなどファスティングで胃腸を休め、午後はお気に入りのものを磨いたり、自然に触れたりしてセロトニンを出す活動をし、夕食では乳酸菌などの善玉菌を取ったり善玉菌の餌となるオリゴ糖などを補給し、穏やかに眠る。
月曜日の朝に足りない栄養素と回復食を取り、会いたい人に会ったりワクワクした計画を立てたりすると、出社時点まで疲労が回復している。「疲労が蓄積している人が週末これをやったら、かなり改善されると思います」と角谷氏は語る。
疲労が増え続ける現代において、従来の常識的な疲労回復法から変わってきている。日本は疲労研究で世界最先端にあり、オートファジーなどの科学的知見が蓄積されている。重要なのは、自分に足りない栄養素を補い、深いノンレム睡眠を確保し、「出す」「休む」「充電する」のスリーステップを正しい順番で実行することだ。これらの手法は週末だけでも実践可能で、ほとんど費用もかからないので、多くの人が実践し、軽やかに元気を取り戻していくことが期待される。
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