マーケティング人材育成で企業を成長させる──なぜ今、体系的な学びの習慣化が成長の鍵となるのか:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)
製品力はあるのに売れない、新規事業が失敗続きなど、多くの企業が抱えるこうした悩みの背景には、マーケティングを担える人材の不足がある。
経営層「顧客目線がない」、現場「完璧に作らないと失礼」──すれ違う組織に欠けているもの
2013年に独立してマーケティング人材の育成を始めた永井氏は、3つの大きな気づきを得た。
1つ目は、多くの企業が顧客目線で問題解決できず悩んでいることだ。永井氏は、様々な企業で、リアルな現状に接してきて、共通点があることに気がついた。それは経営と現場の間には大きな認識の溝があることだ。
例えば経営層は「ウチの商品は顧客目線が全くない」と嘆く一方で、現場は「完璧な商品を作らないと、お客様に失礼だ」と考えている。両者とも商品開発の方法論が間違っているのだが、この結果、顧客不在な状況に陥っている。
新規事業やイノベーションについても、トップは「イノベーションをやれ。でも失敗は厳罰だ」といった矛盾した姿勢を出してしまい、社員はリスクを取らず挑戦せず、不都合なことは一切言わない状況に陥っている。
こうした課題への実践的な理論上の解決策は、既に存在している。顧客開発モデル、リーンスタートアップ、両利きの経営、心理的安全性、コーチングなどの最新理論である。しかし多くのビジネスパーソンは、こうした理論をほとんど知らない。
つまり問題の根本的な原因は、ビジネスパーソンが最新のマーケティング理論やマネジメント理論を学ばずに、実務で実践もしていないことなのだ。
「これは、単なるスキル不足です。スキルが足りないのであれば、学べば良いのです」と永井氏は語る。
2つ目の気づきは、それらの問題解決にマーケティングやマネジメントが役立つということ。マーケティング戦略では、顧客視点で戦略を立てていく。しかし、これだけでは成果は出ない。組織を動かして成果を出すには、現場の実務に即したマネジメント戦略が必要だ。両方を連携させ、相乗効果を生み出すことで、初めて組織の成果が向上するのだ。
「こんなことをしているなんて知らなかった」──組織横断の学びが解き放つ企業成長の可能性
3つ目の気づきは、あらゆる企業に成長の源泉が眠っているということだ。
永井氏は、全社の集合研修を実施すると、必ず社員たちから「社内にこんなに多様な人材や取り組みがあったとは知らなかった」「課題解決のヒントや力を持つ人が社内にいたと気づいた」「成長のヒントがすぐ身近にあった」など、驚きや新たな発見の声が多く寄せられる、と語る。
「こうした気づきこそが、イノベーションを生み出す源泉になるのです」と永井氏は力を込める。
イノベーションはしばしば「技術革新」と捉えられがちだが、これは誤解である。その本質は100年前に経済学者シュンペーターが提唱したように、「既存の知識の新たな組み合わせで、新たな価値を生み出すこと」にある。
「全社で集合研修をすることで、社内にはこうした既存知がいろいろな部署にあって、それらを組み合わせると大きな価値があるということを、皆が気づくのです」と永井氏は語る。
先にOJTの問題を挙げた。OJTは日本企業の8割が導入しているほど普及しているので、やめる必要はまったくない。足りないのは、実践を前提にしたOFF-JTなのだ。
そこでマーケティング戦略とマネジメント戦略を組み合わたOFF-JTを実施して、気づきを得る。そのうえでOJTによる実践で、その学びをハラ落ちさせる。その結果、理解が深まり、さらにOFF-JTで新たな知識を吸収し、再び現場で試す。こうした学びのサイクルを重ねることで、価値を創出する人材が育っていくのである。
言うまでもなく、企業にとって人材は最重要資産だ。重要な資産ほど、しっかりと管理・ケアされるべきなのに、現実には人材という最重要資産は放置されている。逆にいえば、この人材育成にしっかり取り組めば、企業は成長できるのだ。
永井氏は最後にこう語る。「私が『永井経営塾』を2021年に立ち上げたのも、この問題を解決するためです。社員がマーケティングやマネジメントを継続的に学ぶ環境を整えれば、あなたの会社が持続的に成長する仕組みができるのです
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