Special
» 2017年11月15日 10時00分 公開

SAP Leonardo Executive Summit:SAPの新たなる戦略「SAP Leonardo」は一体何を目指すのか?

レオナルド・ダ・ヴィンチは史上最も優れた画家としてだけでなく、科学者としてもその才能を発揮した。翼を羽ばたかせて飛ぶコウモリのような飛行機やネジから着想を得たヘリコプターなど、そのアイデアのほとんどは日の目を見なかったが、稀代のイノベーターの創造性は、現代を生きるわれわれをも驚かせる。そんなルネサンス期の天才の名を冠した「SAP Leonardo」が発表された。それは単なる製品ではなく、同社がERPによって業務のベストプラクティスを顧客に提供してきたのと同様、企業がスピーディーにデジタル変革を実現するための「テクノロジー」「ベストプラクティス」、そして「方法論」から構成されるトータルサービスだという。(ITmedia エグゼクティブ 浅井英二)

[PR/ITmedia]
PR

 2017年10月24日、グランドハイアット東京にてSAP主催のイベント「SAP Leonardo Executive Summit」が開催された。既にSAPの海外年次イベントSAPPHIRE Nowでは発表されていたものの、その全貌についての情報を得る機会が少なかった「SAP Leonardo」。今回、企業のエグゼクティブを招いて開催された本イベントにおいて、初めて日本でその内容がお披露目された。

企業が意図的にイノベーションを起こすためのフレームワーク「SAP Leonardo」

SAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏

 基調講演の冒頭に登壇したSAPジャパン 代表取締役社長 福田譲氏は、SAP Leonardoが生まれた経緯とその実態について次のように説明する。

 「企業が先進テクノロジーを使ってイノベーションを意図的に起こすための支援を行うのが、SAP Leonardoの目的。イノベーションを意図的に起こすための唯一絶対の方法論はまだないが、これまでわれわれが、さまざまなお客様とともにイノベーションを起こしてきた経験の中から抽出したノウハウや進め方の方法論を、業種やテーマ別に分類してまとめたもの全体をSAP Leonardoと呼んでいる。従って、SAP Leonardoは特定の製品やサービスを指すものではなく、各社が個別に悩むのではなく、みんなで意図的にイノベーションを実現するために効率よく正解にたどり着くことができるフレームワークである」

 企業がデジタル変革を成し遂げる上でキーとなるビッグデータやAI、IoTといったテクノロジー分野は、これまでSAPが主戦場としてきたERPをはじめとする業務アプリケーション分野とはジャンルが異なる。しかし福田氏は、「かつてSAPは業務システムの分野で、企業の業務の共通項を抽出し、それをパッケージ化することで顧客の業務革新を後押ししてきた。SAP Leonardoはこれと同じことを、イノベーティブな分野に適用しようというもの」と述べ、同社にとってSAP Leonardoはこれまでのビジネス戦略の延長線上にあるものだと強調した。

SAPアプリケーションとの十分な統合
SAP Leonardo データ&アナリティクス担当プレジデント マラ・アナンド氏

 続いて、SAP Leonardo データ&アナリティクス担当プレジデント マラ・アナンド氏が登壇し、SAP Leonardoの基本戦略について紹介した。

 「SAP Leonardoは、顧客のビジネスの“あるべき将来の姿”に向け、顧客とともにイノベーションを推進していくための活動全体のことを指す。そのためにキーとなる製品やテクノロジー、手法などを業種・業態ごとに“業界別アクセラレータ”としてパッケージ化し、価格や提供期間(8週間)をあらかじめ明確化した上で提供する」

業種別および業務部門別アクセラレーター

 SAP Leonardoがカバーするテクノロジー分野は機械学習、ブロックチェーン、データインテリジェンス、ビッグデータ、IoT、アナリティクスと幅広く、これらをSAP Cloud PlatformやSAP HANA、SAP Data Hubといったプラットフォーム上から提供する。顧客がこれらの先進テクノロジーを生かして、短期間で組織的にイノベーションを実現できるよう、アクセラレータを有効活用したトータルサービスを提供する。

SAP Leonardoのデジタルイノベーションシステム

 既にこの手法を使ってイノベーションを実現した企業の例も多く、例えば日本の製麺機製造大手企業では、SAP Cloud Platform上に構築したSAP LeonardoのIoTソリューションを活用し、顧客に提供した機器に取り付けたセンサーのデータを集計・分析して、製品品質の安定化のための最適な稼働設定を顧客に提案するビジネスモデルを確立したという。

SAPも参画する日本発のIoTオープンプラットフォーム「LANDLOG」

ランドログ 代表取締役社長 井川甲作氏

 続いて、建機メーカーのコマツが、SAPジャパンとNTTドコモ、オプティムと共同出資して設立したジョイントベンチャー企業、ランドログにおける先進的なIoTの取り組みについて、代表取締役社長 井川甲作氏が紹介を行った。

 コマツではもともと、同社製の建機にGNSSアンテナを取り付けて自動制御することで、作業の自動化と工事現場の生産性向上に取り組んできたが、建機による施工は作業全体のごく一部に過ぎず、生産性向上への貢献度に限界があった。そこで取り組んだのが、ドローンによる地形測定や3D点群データによる地形の3Dデータ化による「建設現場全体の見える化」だった。

 この取り組みをさらに進めていく上では、コマツの建機以外にも、他社製のものも含めさまざまな機器からデータを収集する必要がある。そのために考案されたのが、IoTオープンプラットフォームである「LANDLOG」であり、ランドログはこのプラットフォームを使ったソリューションの開発のために設立された。

 「LANDLOGは、建設現場のモノから吸い上げた多種多様なデータを加工して“コト化”し、APIを通じてアプリケーションに提供する。このAPIはオープン化されているため、さまざまなサードパーティによるアプリケーションが生まれることが期待されている。現在弊社では、このアプリケーションの開発や、現場で利用されるIoTのエッジソリューションの提供を行っている」(井川氏)

 その一例として同氏は、ダンプトラックの運行を効率化するためのアプリケーション「TRUCK VISION」の紹介を行った。ダンプトラックや建機の位置情報をLANDLOG上で収集・管理し、それをアプリケーション上に表示することで効率的な運用方法を割り出したり、あるいはダンプトラックへの積み込み土量をクラウドで管理することも可能になっているという。

 こうしたソリューションを検討・実現する上で鍵となっているのが、SAP Leonardoのキーコンセプトの1つである「Design Thinking(デザイン思考)」だ。ランドログ CDO 赤石宗一郎氏は、「デザイン思考型アプローチで、LANDLOGを中心とした新たなエコシステムを構築したいと考えている。建機業界に限らず、ぜひ幅広い分野の企業に参画いただきたい」と述べ、今後のLANDLOGのパートナー展開をアピールした。

デザイン思考型アプローチで、新たなエコシステムを構築

 またランドログの運営に直接関与している、SAPジャパン バイスプレジデント チーフカスタマーオフィサー 大我猛氏は、デザイン思考のアプローチの重要性について次のように述べる。

 「イノベーションの種や、解決すべき課題を発見するためのアプローチとして、デザイン思考は極めて有効だ。デザイン思考は、技術的な実現性とビジネス価値、さらには人のニーズの3つが重なり合うところにイノベーションの機会を見つけ出す手法。具体的には、課題解決の仮説と実行、評価のプロセスを短サイクルで回すことになる。そのためには、不完全でも走り出せて、かつ失敗を許容できる組織文化を育む必要があるだろう」

SAP Leonardoでイノベーションを成し遂げた企業の事例

SAP シニアバイスプレジデント 製品開発部門 IoT Moving Assets担当 ステファン・ブランド氏

 SAP シニアバイスプレジデント 製品開発部門 IoT Moving Assets担当 ステファン・ブランド氏は、実際にSAP Leonardoを使ってイノベーションを達成した企業の事例を幾つか紹介した。

 「主にIoTを使って既存ビジネスの効率化や、新規ビジネスを実現した企業の事例をプロダクト(製品)、アセット(資産)、フリート(車両)の3つを重点的に紹介するとともに、私自身が開発部門の人間なので、それぞれの事例の背後にある技術的な背景についても簡単に説明していきたい」(ブランド氏)

「あらゆるビジネス」が「あらゆるもの」とつながる

 コネクテッドプロダクトの事例として、圧縮空気システムのメーカー、ケーザー・コンプレッサーでは、SAPの予知保全ソリューションを採用し、障害が発生する前にメンテナンスを行うことができるようになった。故障率の低下を実現し、顧客へのサービスレベルを向上させることに成功した。

 また、産業用の遠心分離器メーカーであるGEA社では、機械からリアルタイムで取得したデータに基づき、適切なタイミングで保守を実施することで、機械の稼働率を向上させることに成功した。

 コネクテッドアセットの事例として、世界最大の建機メーカーであるキャタピラー社では、自社製品の製造現場である工場から各種のデータを収集し、SAPのプラットフォームを通じて製造工程全体を可視化することで製造プロセスの最適化を図っている。またイタリアの鉄道会社トレニタリアでは、SAPの予知保全システムを使って車両の適切なメンテナンス時期を予測している。

 コネクテッドフリートの事例として、商用車両や農業用車両、トラック、バスなどの車軸を供給しているBergischen Achsen社が設立したイノベーションラボでは、SAP Vehicle Insightsを基盤としたトレーラー・テレマティクス・ソリューションを利用し、エンド・ツー・エンドの最適化された輸送プロセスを促進している。

 ボッシュはIoT分野でSAPと連携し、同社がもともと保有するセンサーシステムのノウハウを、SAPのソフトウェア技術と組み合わせることで、広範囲なIoTソリューションの実現を目指している。例えば、フォークリフトの各種センサーデータをSAP Vehicle Insightsで分析することにより、高度な地理空間分析や運転挙動分析、バッテリー監視などが実現したという。

 われわれのミッションは「インテリジェントにヒト、モノ、そしてビジネスをつなぐ」です。これはテクノロジーだけでは解決できず、人にかかわるコラボレーション、アイデアの創出、インスパイアを実現する必要があります。SAPはグローバルな経験を生かしたデザイン思考の活用で、お客様の夢を発掘、実現し明るい未来を支援します。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:SAP
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2017年12月23日