無償奉仕「ボランタリーWebユーザー」登場 社会はどう変わる? 企業の取るべき対応は?トレンドフォーカス(1/2 ページ)

インターネットでは、日々多くの人々が新たな情報を提供している。そのおかげで、インターネットは使いやすいものになった。しかし、人はなぜWeb上で無償の奉仕をするのか。

» 2008年02月20日 09時06分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

 インターネットでは、日々多くの人々が新たな情報を提供している。動画のタグ付けやQ&Aのアドバイスなどがそうだ。そのおかげで、インターネットは使いやすいものになった。しかし、人はなぜWeb上で無償(ボランタリー)の奉仕をするのか。

 そうしたボランタリーな活動は、社会と経済にどのような影響を及ぼす可能性を持っているのか。今回は、そんな篤志的情報提供者が頑張る理由について考える。

日々行われるネット上の膨大な奉仕活動

 われわれは無意識に、検索エンジンやコミュニティーサイトを頼ってインターネット上にある情報を表示し、閲覧するようになったが、そこで大いに助けられるのは、世の中の動きに反応し、われ先にとブログやSNSに情報を公開する人たちの存在である。

 また、さまざまな情報を詳しくアーカイブする人たちもいる。玉石混交とはいえ、そんな人たちのおかげで情報の入手性は格段に向上したことは確かだ。

 その最たるものが、Web上の百科事典の「Wikipedia」だろう。匿名の人々が知識を持ち寄り、無償でコンテンツの蓄積と情報の正確性、鮮度の保持に貢献している。公共性を担保することだけを主体に運営されたことで、2008年1月1日現在、世界253言語で総記事数約3100万件の情報が掲載されている。

 また、「YouTube」などの映像配信サービスや、「Flickr」などの写真共有コミュニティーサイトも利用者が急増しているが、動画や画像は検索が困難なため、タグ情報を追記することで検索を容易にしている。このタグ付け作業は、投稿者本人のみならず閲覧者も自由にできる。そのフォークソノミー(万人による開かれた整理・分類作業)に貢献している人も無名のユーザーだ。

 このような無償による知識の蓄積、改良行動はオープンソース、オープンテクノロジー開発に似ているが、ソースコードや付属文書に著作権表示を保持する開発とは異なり、情報を更新したのが誰かは一般に知られることはない、匿名での投稿なのだ。

 OKWaveなどのQ&AサービスやAmazonのカスタマーレビューなどでも、赤の他人が親切に懇切丁寧に貴重な情報を教えてくれる。そんな奉仕活動が日々行われているのはなぜなのか。

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