2008年、CIOに試される「インフルエンサー力」「ユビトマ力」:【年末年始特別企画】コミュニティーリーダーが占う、2008年大予測
2008年、企業のIT戦略を統括するCIOにとっても、ネットというプラットフォームを舞台に活躍する力が求められる時代に入ってきそうだ。
「Web2.0」――今や使い古された感すらある、この言葉。特に情報感度の高いITmedia エグゼクティブ会員各位には、死語に近い感覚すら持っている方もいるかもしれない。しかし、2008年は改めてその本質をとらえ直した事業運営や組織構築が本流となる予感がある。
「行動ターゲッティング」「コンテンツの総動画化と配信」「ドロップシッピング」「レコメンデーション」「セカンドライフ」――挙げればきりがないが、特に「ウィキノミクス〜集合知」と「インフルエンサー」について注目したい。
『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』『ネットvs.リアルの衝突―誰がウェブ2.0を制するか』などの著者であるジャーナリストの佐々木俊尚氏によれば、Web2.0の本質はデータベースであり、その枠組みは以下の2つの区分から成り立っている。
まさしく「ウィキノミクス〜集合知」をどう使いこなせるかがWeb2.0の本質というわけだ。
2008年のCIOを含む経営トップやエグゼクティブ、あるいはその予備軍たるビジネスリーダーには、ネットの世界に無尽蔵にばらまかれた社内外の知の断片をどうスピーディに上手くすくい上げ、編集し、自社の方向付けの先行指標としていけるかの本質が、いよいよ問われるようになるだろう。
さらには、そのリーダーシップのスタイルは、情報編集力とクリエイティビティ(創造性)、あるいはインサイト(洞察力)からもたらされる発信力であり、要するに「インフルエンサー型」の力が求められる。
現在は、ブログやSNS、コミュニティー・サイトなどにおいて、他のユーザーに対して時にカリスマ的に大きな影響を与える「無名の個人」が登場する時代だ。私は経営者・エグゼクティブの方々のキャリア支援事業の経営に当たる者として、各所の経営人材の成功事例と今後の傾向を推察する立場にあるが、21世紀型経営リーダーに求められる資質の1つに、この「インフルエンサー力」があると確信している。
21世紀型経営リーダーの必須の力
2008年はいよいよ一般個人の世界から事業・経営の世界においても、ネットというプラットフォームを舞台として活躍する「インフルエンサー力」が必須の力として求められる時代に入ると感じている。
話がやや飛ぶが、過日新装版が発刊された『個を活かす企業』(クリストファーA.バートレッド、スマントラ・ゴシャール著/グロービス経営大学院訳/ダイヤモンド社)によれば、経営学の世界においても「戦略・構造・システム」という経営科学の世界の限界と、それを超えて「目的・プロセス・ヒト」の哲学に立った、より豊かなビジネスモデルに向けて進まなければならないことを深く実感しつつある、という。
CIOを含む経営トップやビジネスリーダーは、自社の事業に対する夢や目標を大きく掲げ、社員を鼓舞して、1人1人の個性や主体性に火をつける先導役としての役割が大きくなっているのだ。いやおうなく流動化している人材を自社につなぎとめるものは、かつてのような単なる役職や報酬のみの抱え込みではもはや機能しなくなった。
先を走るユビトマ型リーダー
また、日々お付き合いさせていただいている経営者の中で、実際にいま企業を成長に導くことに成功している経営者に共通するものの1つに「ユビトマ(この指止まれ)力」を強く感じている。
2008年は「俺はこんなことを、こんな仲間たちと成し遂げたいんだ」と大きく指を掲げる「ユビトマ型リーダー」でなければ活躍できなくなる最初の年になりそうな気がする。
経営トップやビジネスリーダー自らが仕事を楽しみ、先を走る。それについていきたいと心から思う社員をどれだけつくれるかこそが、2008年の経営の勝ち組・負け組の境界線となるだろう。
2008年、CIOとその予備軍であるリーダー諸氏には「インフルエンサー力」と「ユビトマ力」をいかに発揮するかに注力されることをおすすめしたい。
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