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ある工場長への「洗脳作戦」:間違いだらけのIT経営(2/2 ページ)
トップ・経営陣がITを理解するというのは具体的にはどのレベルのことだと理解すればよいのか。ITを導入といえば人員削減しかイメージできない人をどう説得するのか。
人間軽視の姿勢が改革の敵となる
手をこまねいていては、IT導入を成功させることはできない。IT導入成功のために欠かせない条件が、いくつかあることを知らなければならない。例えば、プロジェクトへの優秀な人材投入、意識改革、ユーザー部門との綿密なコミュニケーションなどだ。そしてそれらを突き詰めると、すべてがトップの姿勢いかんに収斂するということを知るべきだ。
さらに、システム構築の進度状況や導入後の効果実現状況のフォローアップと、必要な場合の対策を実施なければならないということも知っておかなければならない。
Bは結果だけを、しかも単に「減員」だけを追求した。加えて、ITはそもそも構築にしても、運用にしても、保守にしても、人間が絡まなければできないということ、従ってITと人の関わりを正しく認識しておかなければならない。例えば、ITと人間がそれぞれ担うべき機能を明確にし、適切な分業が必要である。Bの人間軽視の姿勢は、経営者としての資質そのものを疑われてしまうものである。
ますおか・なおじろう
日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)
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