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日本のアニメは本当に世界一? 本気の世界戦略が生き残りのカギ岐路に立つ日本のコンテンツ産業(前編)(3/3 ページ)

日本のコンテンツ産業は今、大きな転換点に差し掛かっている。昨年、「コンテンツグローバル戦略報告書」を発表した経済産業省の井上悟志氏に話を聞いた。

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ITでバリューチェーンが拡大、儲かる仕掛けをいかに作るか?

井上 グローバル化を進めるにあたって見逃すことができない要素がITの高度化です。これはチャンスでもあり、リスクでもあります。

 従来型のメディアは、原作や脚本などからコンテンツを製作し、提供まで一貫して手がけると言う垂直統合型のコングロマリットというモデルを一般的に採用しビジネスを展開していました。しかし、デジタル化やネットワーク化が進んだことで、ゲーム機やPCなど、コンテンツの出口が着々と多様化していることに加え、国外の消費者にも容易にコンテンツを提供することも可能になりつつあります。しかも、「YouTube」の成功などをきっかけに、ハードウェアメーカーや金融、キャリアなど、資本や技術を備えた企業がコンテンツビジネスに参入するケースが増えています。

 そうした企業と連携を図ることでバリューチェーンが広がりをみせ、従来よりも“儲かる”ビジネスモデルを構築できる可能性も高まるわけです。いわゆる「ロングテールビジネス」が可能になったのも、技術が進化したからこそです。

 もっとも、ITのメリットを享受するためには、ITに潜むリスクにもきちんと向き合わなくてはなりません。コンテンツがデジタル化され、複製が容易になったことで、貴重な知的財産であるコンテンツを保護するための仕組みが不可欠になっているからです。ネットワーク上のコンテンツが違法にコピーされたものか否かを判断できる技術が、今、強く求められています。リスクに対して技術的に対応できるようにしておかなければ、バリューチェーンの崩壊を招きかねないのです。

(後編に続く)

「第4回ITmedia エグゼクティブ セミナー」〜グローバルで勝つための経営とIT〜

世界同時株安で景気減速の懸念が強まっているが、優れたビジョンや戦略、オペレーションによってグローバル市場で成功を収めている日本企業も多い。その成否を分けているのは、企業の「現場」が生み出している価値そのものだ。

 第4回ITmedia エグゼクティブセミナーは2日間にわたって開催いたします。1日目は、遠藤功氏(ローランド・ベルガー会長)、根来龍之氏(早稲田大学大学院商学研究科教授)にご登壇いただき、強い現場をつくるための最も重要な要素である「見える化」をテーマに取り上げ、それを実現するためのITの生かし方も探ります。

 2日目では、アクセンチュアで自動車業界の総責任者を務めた三澤一文氏(シーメンスPLMソフトウェア社長)に、他の産業よりも頭ひとつ抜け出た競争力を獲得している同業界の強みや死角を分析いただき、経営はもとより、IT部門のリーダーの方々にも意識改革を促す機会としたい。

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