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論拠の見える化に必要なのはITではなくヒトITmedia エグゼクティブセミナーリポート(3/3 ページ)

根拠の見える化はITという道具によって可能となる。しかし論拠の見える化は、分析と討議によって可能となるものだという。

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ビジネスモデルを見える化するには

 「ビジネスモデルには、少なくとも論拠・戦略・前提の3つのモデルが必要。その各ビジネスモデルは、成立するための前提(コンテキスト)をそれぞれ持っている。だから、それらの前提がクリアにならない限り、どのようなデータを見える化すべきかさえ分からない」(根来氏)

 最後に、根来氏はセブン−イレブンジャパンの情報武装について説明した。同社は仮説検証を行って顧客ニーズを見える化すべく、POSやコールセンターでの情報収集を進め、顧客の購買行動解析を行っている。本部では情報分析システムを段階的に進化させ、次第に蓄積データも充実させていった。

 一方で、セブン−イレブンは数々の会議を開催していることでも知られている。

 例えば各地域統括マネジャーが情報交換をする「マネジャー会議」、役員や全国の幹部社員が集まる「業務改革委員会」、加盟店経営指導員や開発員などが集まる「FC(Field Counselor)会議」などが毎週開催されている。

 「年間の会議運営費用は約25億円にのぼるという。データだけで仮説検証できるなら、このようなことは不要だろう。しかし、どれだけITが進んでも事実のすべてをデータとして利用することはできない、と彼らは考えている。データを使う論拠を見える化するために、このような会議を行っているというわけだ」(根来氏)

「コンテキスト」の不断の再構築(出所:根来龍之講演資料『見える化の目的とITの生かし方」2008.03)
「コンテキスト」の不断の再構築(出所:根来龍之講演資料『見える化の目的とITの生かし方」2008.03)

 事実やデータの見える化は、ITなどの道具を使うことで可能になる。しかし、現状の道具では、論拠の見える化は実現できない。それは、ヒトが意識的にクリアしていかなければならないものだという。

 「アクションの論拠となる仮説の見える化は、ミーティングなどで分析と討議を行うことによってのみ可能となる。ビジネスモデルのコンテキストを導き出し、クリアにするには、そのモデルが持っているコンテキストを表に出し、ディスカッションし、共有することが不可欠。ITとヒトの両輪が必要な理由だ」(根来氏)

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