アプリケーション開発3つのアプローチ:開発か購入かの時代は終わった(2/2 ページ)
アプリケーション開発の世界では、今日、3つのアプローチがキーワードとなっている。すなわち、Webサービス、オープンソース、そしてアジャイルだ。これらは相互に排他的なものではない。迅速なプロセスに取り組みながら、オープンソースソフトウェアを利用して、アプリケーション開発を進めることができる。
3.アジャイル 短期間で構築できるのでリスクが少ない
アジャイルは、プロジェクトのライフサイクル全般を通して、革新的な変化を促進するソフトウェアエンジニアリングプロジェクトの概念的フレームワークだ。熟達した開発者やビジネスに精通したCIOたちにとって、この戦略はきわめて常識と思われるが、伝統的な手法と比べて十分に構造化されていないため、議論の多いフレームワークでもある。
ほとんどのアジャイル開発手法は、一般に「イテレーション」と呼ばれる1〜4週間の短期フレームでソフトウェアを開発することにより、リスクの最小化を図る。それぞれのイテレーションはミニ開発プロジェクトのようなもので、プランニング、要求分析、設計、コーディング、テスト、ドキュメンテーションなど、追加的な新機能をリリースするまでに必要なすべてのタスクが含まれる。特定のイテレーションで製品のリリースに至る機能が追加されるとは限らないが、ほとんどのアジャイルプロジェクトではマイナーな機能追加の結果としてソフトウェアがリリースされる。
「アジャイル開発とは、反復的な開発プロセスで、機敏かつ柔軟にビジネスニーズに反応しながらソフトウェア開発を進めていくものだ」と説明するのは、ニューヨーク州ベッドフォードのEZインサイトの主席アナリストで、AgileJournal.comの編集者、リズ・バーネット氏だ。
アジャイルソフトウェア開発とは、エクストリームプログラミング(XP)やスクラム(SCRUM)、機能主導型開発(FDD)、クリスタル、DSDM、リーンソフトウェア開発など、この15年ほどの開発プロセスの特定の集合を指すものだ。アジャイルプロセスの理念的指導者たちが設立した非営利団体のアジャイル・アライアンスは、開発プロセスにおける対人関係の相互作用を重視するなど、アジャイルプロセスが従うべき一連の価値観をまとめた「アジャイル・マニフェスト」を提唱している。
もちろん、アジャイルはすべてのプロジェクトに適合する手法というわけではない。特に全体像を包括する構造が要求されるような大規模開発の場合、気楽なムードのアジャイルは混沌をもたらす。また、アジャイルはその特性から、プログラマに頻繁な開発作業を強いるため、開発チームがマンネリズムに陥り、さまざまな問題を引き起こす場合がある、とバーネット氏も警告する。それでも、このフレームワークはそうしたネガティブな面を帳消しにするほど有効だと主張するのは、フォレスターの上級アナリスト、ピーター・ステープ氏だ。
「アジャイルは仕事の結果がすぐに見え、正しいか間違っているかが容易に判断できる。もしITの仕事がビジネスニーズに適合するコードを記述し、市場競争に勝つためのプログラム開発にあるのなら、アジャイルはそれを実現するためのリスクを最小限に抑えてくれる」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「顧客の立場でプロセスを見直すのがSOA」――ハーレーダビッドソンCIO
世界中のバイクフリークから愛されてやまないハーレーダビッドソン。ビジネスにおいては何よりも「顧客志向」が重要だという。 - ビジネスとして見るSaaS 2008年はネットワーク効果が鍵
2008年普及のしきい値を超えそうなSaaSが注目だ。プラットフォーム製品として大きく成長するための「ネットワーク効果」の重要性が改めて見直されることになりそうだ。 - 動き始めたWeb2.0の企業活用:果たして情報共有を成功させるか
Enterprise 2.0が生み出す世界は、まるで“タバコ部屋”のようとか。その「緊密さ」がプラスに働く半面、課題となるマイナス要素も……。 - 西武グループ、SaaS型の勤怠システムを採用 約3万人が対象
勤怠管理システムを刷新した西武グループは、勤務形態や運用の異なるグループ各社の人事管理を一元化し業務効率の向上を狙う。 - 金商法プロ・アマ区分の管理にSaaSを利用――りそな信託銀行
りそな信託銀行は、金融商品取引法が求めるプロ・アマ区分の対応するため、SaaS型アプリケーションの「Salesforce」を採用した。