▽商務部、中国企業の海外投資を奨励
商務部、中国国際投資促進会、国連貿易開発会議(UNCTAD)は10月20〜21日、上海市浦東地区で「第5回 国際投資促進フォーラム」を開催、各界の代表と専門家が、中国企業の海外経営について検討を進めた。
商務部の陳健副部長は、「国際経済情勢が複雑かつ厳しい様相を呈し、多国籍企業は経営の前途に懸念を抱き、多くの企業が投資のペースを緩めているが、商務部は積極的かつ慎重な態度で、中国企業の対外投資協力を奨励する」と発言した。
商務部による中国企業の海外戦略支援
陳副部長によると、2008年上半期に中国の実体経済(非金融業)における対外直接投資は256億6000万ドルに達し、前年同期の3.3倍になるという。投資スタイルも多様化しており、中国企業の海外経営力の大幅な向上がうかがえるとした。
商務部は今後、企業の海外進出にふさわしい環境作りを行い、企業向けの資金調達ルートを開拓し、条件を満たした企業が国際株式投資や海外企業の合併買収(M&A)を行うことを奨励していくという。
中国企業の現在の課題は、海外経営を担う管理職の育成を強化することで、商務部は全国対外投資ネットワークサービスシステムを段階的に打ち立てて、良好な外部環境作りを進めていく。
中国企業の海外戦略
2000年以前、中国の対外投資は貿易製品が主な対象だったが、2000年以降はエネルギー開発がこれに代わり、現在は米国のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅投資)問題に端を発した世界金融危機で、先進国の資産は目減りし、資金面での救済策が待ち望まれている。
こうした状況をとらえ、中国企業は海外進出にあたっての方向性を徐々に先進国に移し、金融危機がもたらした情勢を利用して、製品、設備の輸出奨励から技術、製造力の獲得へと切り替えている。
国内では金融の支援力や外貨準備の利点を発揮し、バランスの取れた国内情勢を十分に活用することが必要になっている。
▽国務院、1500億元の減税案を批准
3486品目の労働集約型産業やハイテク製品、高付加価値製品の輸出時の増値税還付率の引き上げに続き、中国財政部が2008年9月初めに提出した、減税規模1000億元(1元は約15円)以上の増値税の「消費段階課税」への全面的なモデルチェンジに関する案が、10月22日に国務院(中国中央政府)に批准された。2009年1月1日から実施される。
同案が実施されれば、最低1500億元から2000億元の企業納税負担の軽減につながるとみられる。
増値税は、中国国内での物品の製造や流通段階で発生する付加価値を課税対象とした付加価値税で、品目ごとに17%、13%の2段階の税率がある。これまで増値税には重複課税という問題点があり、企業の負担が大きいと指摘されていた。
増値税の「消費段階課税」へのモデルチェンジについては、2004年9月1日から中国の東北地域でテストが行われており、全般的によい成果を上げている。
▽中国不動産市況、2カ月連続で下落
国家発展改革委員会が10月22日に発表した9月の主要70都市の不動産販売価格は前月比0.1%下落で、2カ月連続のマイナスとなった。
2007年秋に強化した金融引き締め政策の効果が表れてきたほか、米国発の金融危機で景気の先行き不透明感が一気に強まっているためだ。不動産市場が崩れれば、減速感が強まる中国経済に一段の下押し圧力が掛かりかねない。
事態を重視した政府は不動産市場のてこ入れ策を相次いで打ち出している。国務院は同月17日の常務会議で、住宅取引税の税率引き下げ方針を決定。22日には財政省が住宅購入にかかる印紙税や契約税の一部免除を、中国人民銀行が住宅ローン金利の下限引き下げなどを発表した。
中国政府は22日夜、「国民、特に中、低所得者の住宅難問題を解決するため、不動産取引税の引き下げと個人住宅ローン金利の再引き下げなど一連の措置をとる」と発表している。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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