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成長を続ける香港、日本経済にメリットも――香港貿易発展局

2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の悪夢から回復した後、5年連続でGDP成長率を伸ばした香港。次の市場として中国を狙う日本企業にとって心強いパートナーになるという。

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 香港でトレードフェアなどを手掛ける香港貿易発展局(HKTDC)は9月17日、プレス向けに事業説明会を開催した。日本首席代表の古田茂美氏は香港経済の最新動向に触れ、「日本経済を活性化するには香港の資源を活用すべき」との考えを示した。

香港経済の最新動向を説明する日本主席代表の古田茂美氏
香港経済の最新動向を説明する日本主席代表の古田茂美氏

 日本経済が抱える課題は深刻だ。人口減少などにより国内市場は縮小に向かい、地方を中心に疲弊する産業は多い。一方で香港は急速な経済発展を遂げている。GDP(国内総生産)は5年連続で成長しており、1人当たりの所得は2008年に3万1500米ドルを超えるとみられている。カネ、ヒト、社会制度といった資源が充実してきており、それらを活用することが日本の活性化につながるという。具体的には「ベンチャーキャピタルによる資金調達や、中国市場における販売ネットワークなどが享受できる」と古田氏は話す。

 2004年1月から施行されているCEPA(香港と中国本土間の経済貿易緊密化協定)により、香港企業とパートナーシップを組む外国企業は本土で税制などの優遇策が取られている。「中国市場進出の足掛かりとして多くの日本企業に香港を活用してもらいたい」と古田氏は意気込む。

 民間レベルでは以前から経済交流の深い日本と香港だが、最近は東急不動産が香港企業と手を組み中国・瀋陽に商業ビルを建設するなど、こうした優遇制度が日本企業の進出に一層の拍車を掛けている。

香港の最大の顧客は中国

 実は香港にとっても中国は大きな魅力を持つ。香港の観光産業は年々伸びているが、旅行者のうち半数以上が中国本土からだという。貿易産業についても輸出入ともに中国が最大の相手国であり、中国の経済成長と香港の発展は強固に結び付いている。

 「域内経済の活性化がそのまま香港の成長につながる」(古田氏)

 そうした中で浮上するのが「汎珠江デルタ経済圏」構想である。香港とマカオに加えて、広東、広西、海南、福建、雲南、貴州、四州、湖南、江西の9省を合わせた経済地域を指す。中国国土の40%に当たるこの地域は、人口が4億5000万人、GDP総額は7160億米ドルに上る。この巨大な経済圏を活発にできるかどうかが今後の香港成長の鍵を握る。

 具体的な取り組みも始まっている。2005年9月に温家宝総理が経済の活性化に向け香港と広東省・深センの合作推進を呼び掛けたのを契機に、すぐさま実案件が生まれた。2007年7月に深セン域内で香港の出入境手続きが可能になったほか、2008年3月には「全人代広東香港マカオ合作区構想」の一環として、香港とマカオを結ぶ港珠澳大橋の建設が決まった(開通は2014年)。同4月には、広東省の広州市から深センを経由して香港に至るまでの全長200キロを50分で結ぶ広深港高速鉄道の構想も打ち出した。

 「ヒト、モノ、カネの自由化をさらに推し進めて、香港ひいてはデルタ経済圏を発展させる動きが活発になっている」(古田氏)

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