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「太陽電池は油田だ」――シャープ・町田会長(2/2 ページ)

「堺コンビナートの挑戦」という町田会長の言葉に表わされるように、シャープが建設中の堺新工場には地球環境に配慮した最新技術が惜しげもなく盛り込まれている。特に工場の屋根などに張り巡らされた太陽光発電システムは地球を救う可能性を秘めるという。

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資源不足を“創エネ”で解消

 環境問題への対策というと、いわゆる「省エネ」を考えがちである。しかし町田氏は「省エネと並んでエネルギーを生み出す“創エネ”が重要だ」と述べる。こうした背景には中国やインドなど新興国によるエネルギー消費の増大と、それに伴う地球規模の資源不足がある。日本エネルギー経済研究所の調査によると、2005年に103億トンだったエネルギー消費量は、2030年には165億トンになるという。特にアジア地域においては32億トンから65億トンと約2倍に増大する。エネルギー消費を抑えることはほぼ不可能であるため、石油など既存の資源に代わる新たなエネルギーが必要なわけだ。

堺コンビナート太陽光発電施設の完成イメージ
堺コンビナート太陽光発電施設の完成イメージ

 シャープでは、2010年4月までに堺工場で太陽電池の年間生産能力を1Gワットまで拡張する計画を立てる。この生産を20年間続けると、石油換算で約3000万バレルに相当するエネルギーがつくられるという。

 「もし堺工場が50個あれば、日本の年間原油輸入量にあたる15億バレルを補うことができる。まさに太陽電池は油田である」(町田氏)

 太陽電池の発電コストはどうか。太陽電池は温暖化ガスの排出は抑えるものの、火力や原子力などのエネルギーに比べて割高な点が課題である。シャープは、2007年に1kWh当たり46円だったコストを、2010年には23円、2030年には7円に下げるという目標を掲げる。「2010年の目標値はクリアできるはずだ。23円になれば(一般家庭での太陽電池の活用も進み)もっと身近なエネルギーになる」と町田氏は強調する。

今こそ日本の粘り強さを

 環境問題に対するこうした地道な取り組みは、日本では今に始まったことではない。森林ジャーナリストである田中淳夫氏の著書『森林からのニッポン再生』によると、江戸時代ははげ山が多く、第二次大戦後の植林で緑化が進んだ結果、現在では国土面積の67%にあたる約2500万ヘクタールが森林だという。

 「国土の半分以上を占める森林は、日本が長きにわたり環境問題に取り組んできた産物だ。この粘り強さがあれば地球温暖化問題は解決できる」(町田氏)

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