企業の組織における「せいだ病」のまん延を防げ:問われるコーチング力(2/2 ページ)
2008年もさまざまな出来事があった。中でも特に世相を反映するキーワードを取り上げて、ビジネスコーチングの視点から分析してみたい。
他人のせいにする社員をいかに管理するか
職場のリーダーにはこの考え方を社員に徹底させてほしい。もちろんビジネスの現場では、日々困難な課題が出てきて、業績が上がらずに頭を悩ませている人も多いだろう。しかし、チームや組織のメンバー全員で知恵を絞り、共に働く幸せや喜びを感じられるのであれば、必ず乗り越えられるはずである。
チームの中には、せいだ病に該当する人がいるかもしれない。リーダーはそうした人に何ができるだろうか? わたしは人を見る視点には次の2つがあると考えている。
1. 能力に問題ないか
2. 信頼できる人か
仕事を任せて、口では「やる」と言いつつも結果を残さなかった。能力に問題があるかもしれない。かたや、「自分は正しい、できなかったのは○○のせいだ」と主張する。これは信頼に値しない人というわけである。
そのような人と信頼関係を結ぶのは難しい。チームにとっても弊害になる。彼らをどうしたらよいか。2つの方法がある。
1. 率直にフィードバックする
「君にはこの能力が足りない。身に付けてほしい」、「あなたの××な行動が問題になっている。そのままだと信頼関係が築けないし、組織が発展しない。この点を改善してほしい」と率直に伝えるのである。本人が自分の弱点、悪い点に気付いていないということがあるからだ。
2. 気を配り、影響を最小限に食い止める
率直にフィードバックしても、一向に改善が見られない、変わらない人がいる。そういう人には組織やチームに悪影響が出ないように、常に気を配り言動に注意する。影響を最小限に食い止めなければならない。
リーダー自身は、自分が持っていることに目を向け、日々の幸せをかみしめ、それをチームの中で徹底させる。チームの中でせいだ病の影響が出ないように、最大限の努力をしてほしい。
次回は、リーダーに焦点を当てて今年を振り返る。
プロフィール
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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