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「笑点」でGDP成長率の傾向をつかめる:景気探検(2/2 ページ)
景気の底打ち感が強まり、実質GDP成長率は改善傾向にありそうだ。日本テレビ系の長寿番組「笑点」の視聴率からも読み取ることができるという。
「笑点」とGDPの相関関係
実質GDP成長率は身近なデータからも大凡の傾向を予測できる。ビデオリサーチの1週間ごとの視聴率ランキングでは、四半期ごとに「その他娯楽番組」の視聴率で「笑点」が1位をとった回数が調べられる。不思議なことに笑点が1位をとった回数が実質GDP成長率と相関が高い。通常、笑点が1位をとるのは各四半期で0〜1回で、多いときでも2回である。しかし、実質GDP成長率が前期比年率2ケタマイナスだった2008年10〜12月期、2009年1〜3月期はそれぞれ6回、5回とかなり多かった。
日本テレビ系で日曜夕方に放送される笑点は、ほかのお笑い番組に比べ年配の人も多く見る番組だろう。景気が悪く暗い状況になるとお笑いで嫌な気分を吹き飛ばしたいという人が増えるのだろう。また、日曜日の夕方に外出せずにテレビを見ている人は、外でお金を使わないという状況下や、生産調整で日曜だけでなく平日にも休みがあるといった状況下で増加しやすかったのだろう。
笑点の1位は4〜6月期では1回。笑点の視聴率から分析しても、4〜6月期実質GDP成長率は改善しそうだ。
著者プロフィール
宅森昭吉(たくもり あきよし)
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
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