巨大な波に飲み込まれるのか――「メディア激震」:経営のヒントになる一冊
相次ぐ雑誌の廃刊、そして倒産……。これほどまで厳しい状況にメディア企業を追い込んだものは一体何か。共同通信社において長年にわたり第一線の記者としてメディアの栄枯盛衰を見てきた著者が語る。
2000年代に入り、急速にグローバル化するIT・デジタル革命のあおりを受け、世界のメディア企業は大きく揺れている。マスコミ各社、新聞そして雑誌は、かつてない厳しい局面に立たされているのだ。IT時代の到来は、いったいメディアに対しどのような影響を及ぼしたというのであろうか。かつてと比べて現場で働くジャーナリストたちはどう変わったのか。ジャーナリズムは今後どうなるのか。そうした変化の本質とはどこにあるのであろうか。
国際的な視点を含めてこれらの動きを俯瞰、考察したのが本書である。国際報道で重要な位置を占める国際通信社を含めてIT革命に翻弄(ほんろう)される国内外メディアの現状を詳しくまとめている。
本書では、まず、グローバル化の波が世界を襲いつつあり、メディア企業もこの影響下のまっただ中にあることを説明する。次に、破たんが相次ぎ、苦境に立つ米新聞業界や2008年中間期で赤字を計上した朝日新聞の例などを引き合いにして、打撃を受けたのがメディアを支えていた旧来のビジネスモデルそのものであると指摘している。
国際通信社をテーマとして扱った後半部分では、その歴史、激動する国際情勢を刻々と伝える通信社の現場とジャーナリズム、IT革命で一段とし烈化する報道レースなどを解説する。最後に、著者の見地からメディアの将来とジャーナリズムのあり方について新たな提言を行っている。
著者は共同通信社に入社後、大阪社会部、経済部、外信部、ロンドン特派員、メディア局編集部デスクを歴任し、長年にわたり第一線で活躍していた。
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