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ポータルのような単価で広告は売らない ロイターのメディア事業責任者

メディアの統廃合が活発だ。海外では米News Corporationが有力経済紙WSJを発行する米Dow Jonesを買収したり、カナダの情報サービス大手であるThomsonが英Reutersを統合したりしている。今後メディア業界で生き残るためには、「専門性」が1つのキーワードになるという。

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 トムソン・ロイター・ジャパンとプレジデント社は、このたび業務提携して、10月1日からビジネスパーソン向けの新規Web媒体「プレジデントロイター」を立ち上げる。ビジネス経験の深いユーザーに向けて、経営概念や自己啓発にフォーカスしたコンテンツを提供していく。トムソン・ロイターのメディア事業部門で日本責任者を務める楠山健一郎氏に、立ち上げの経緯と戦略を聞いた。

2003年からロイターのオンライン事業の中核を担う楠山健一郎氏
2003年からロイターのオンライン事業の中核を担う楠山健一郎氏

――新媒体立ち上げの背景を教えてください。

楠山 近年インターネット系メディア、とりわけYahoo!やGoogleのようなポータルサイトの成長は著しく、ネット広告市場も大いに活性化しています。2007年度の国内ネット広告費は6000億円に達しており(電通調べ)、今後もさらに拡大する見込みです。こうした状況の中、メディア業界では1社単独で生き残りを模索するのではなく、他社との協業により競争力を高める動きが目立ちます。

 多分に漏れず、ロイターでもこうした意識を持っていました。運営するニュースサイト「Reuters.co.jp」のページビュー(PV)は伸びていますが(2008年6月現在、4000万PV)、広告マーケットに対してさらなる一手を打つためには、このままロイター単独でいいのかを考える必要がありました。

――業務提携はどちらから持ち掛けたのですか。

楠山 ロイター側です。昨年10月ごろから交渉を進めてきました。プレジデントを選んだ理由は、読者のプロファイルが似ていて専門性の高い媒体同士だったため、連携することで相乗効果を生み出すことができると考えたからです。

――経営者や富裕層を主なターゲットにしています。どのような広告を想定していますか。

楠山 媒体広告は、SAPやIBMなどの企業向け大型ITシステム、高級車、ラグジュアリー商材、ブランド品などを考えています。また、Reuters.co.jpでは実績がないけれど、プレジデントの誌面には出稿している広告クライアントもネットに取り込んでいければと思います。今後は雑誌とオンラインのクロスメディア提案が可能になります。

――PV単価も他サイトと比べて高く設定しているようですね。勝算はあるのですか。

楠山 もちろんです。今後、専門メディアサイトの重要性はますます向上していくと思います。実際に米国では専門サイトがポータルサイトのPVを上回るという例も出ています。プレジデントロイターはビジネスパーソンに向けて本物の価値を提供したいと考えているため、高値でしか売る気はありません。「Yahoo!」や「mixi」と同じような値段となることはありません。Reuters.co.jpも現在はポータルサイトの4〜5倍の価格設定となっています。

 クライアントが広告出稿を検討する上で、現在はサイトのPVが指標になっていますが、これからは単にPVが多い少ないではなく、コンテンツの中身や価値を評価してもらう時代になると思います。

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