逆転するITと経営戦略の決定順序
日本オラクルは6月15日、イベント「Oracle Cloud Computing Summit」を都内のホテルで開催した。基調講演には、Oracleのデータベースや仮想化環境を用いてプライベートクラウドシステムを構築し、ITコストの大幅削減と新規投資を増加できる環境を整えた佐川急便の純粋持株会社、SGホールディングス 経営戦略部 IT戦略課長 SGシステムの三原渉取締役が登場。メインフレームからオープン環境に移行したことの狙いや情報システム部門の在り方の変化について話した。
佐川急便は情報システムについて、1985年から取り組み、常に顧客サービスの充実を最優先に構築してきたという。会計などの社内向けは後に回した。三原氏は2004年ころを振り返り「(飛脚宅配便を手掛ける)われわれは、黒猫(ヤマト運輸)を追いかけながら、ペリカン(日本通運)やカンガルー(西濃運輸)に追われていた」と話す。
2004年当時、大型のメインフレームを運用していた佐川急便は、年間のITコストが250億円かかっていた。これを圧縮するために、三原氏は「脱メインフレーム」に着手した。
2006年、RAC(Real Application Clusters)をベースに待機系1台を含めたサーバ8台、アプリケーションサーバ93台で構成する新システムを構築した。この時点で、今でいうプライベートクラウド環境を実現した。貨物情報の取り込みおよび提供、営業店貨物紹介、インターネット貨物の紹介など現場を強力に支えるものだ。数十億件の貨物データを格納し、1日1億件以上の貨物データを扱い、毎秒最大で2000件以上のトランザクションを処理できる。
三原氏はこうしたシステム改革により「2015年までにITの年間コストを160億円にまで圧縮する」。2004年と比較して実に90億円の削減額になる。同氏は浮いた費用を、セールスドライバーの業務の効率化や、IFRSへの取り組みをはじめとした新規の投資に回す考えだ。削減したコストを使って新しい分野に投資することで、ITによる競争力を高いレベルで維持する。
「従来の情報システムは経営戦略、業務改革、ITという順序で決まるもので、ITがボトルネックになっていた」という。
「これからはITが先に待ち構えていて、経営戦略と業務改革からの要求がきたらすぐに“それならできますよ”といえるようになる。グリッド技術を駆使することで可能になる」(三原氏)
三原氏は、かつて情報システムをベンダーに任せきりにしたことでベンダーロックインの状態に陥ったことを反省しているという。今後は情報システム部門としてのコントロールを維持し、システムを自社以外にも展開する構想を持っていることも明らかにした。
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