情報探索とヒトのモチベーション:One to only Oneの発想から生まれる現場力(2)(2/2 ページ)
1回目は、経営において顧客の声を聞くことが重要であることを説明した。2回目は、コールセンターの設計などを例にさらに深く考察する。
情報の目利き力を高める取り組み
野元 何を報告してもらいたいか。例えば、今発行中のカタログの何をお客様が見ているのか、どんな商品に注目しているのかなど、われわれが知りたい情報、比べたい情報は何かについてある程度の方向性をコミュニケーターたちに知らせ、予測に対してどうだったか、最終的にコミュニケーターが販売した実績などを常に比べフィードバックするようにしています。
灰塚 予測する数字と実績を比較し、その結果をまた共有する。予測に対する情報をとってもらうように働きかける。また、コールセンターとは全く違う場所からの情報でも受け入れるようにしています。
林田 コミュニケーターたちを企画に参画させることで、入ってくる情報に対する興味を高めることができます。また、一定の権限を委譲することで、情報を積極的に探す意識が芽生え、価値ある情報が集まります。
コールセンターには多くの情報が入るが、企業にとって役立つものとそうでないものに分かれる。膨大に集る情報の中からいわゆる筋の良い情報を見極める力を、組織は能力として身につけることが重要だ。
JIMOSへのインタビューでも分かる通り、「ある程度の仮説」を関係者間で共有することにより、意識的に情報を選別できるようになる。情報を受け取るフロントラインのコミュニケーターが経営サイドの考えや予想を直接聞くことで、経営的視点から顧客に対応できるようになる。さまざまな角度から情報を集め、考える力も醸成されると思われる。
お客様の声を重視するあまりに、手当たり次第に情報を収集し、その情報に翻弄され、不必要に多機能化するといったケースは珍しくない。事業活動において情報を活用するには、経営効率という視点で管理し、活用することが大切であることが分かる。
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著者プロフィール
森 一恵(もりかずえ)
早稲田大学大学院卒。現在同大学博士課程に在籍する傍ら、早稲田大学IT戦略研究所研究員として活動。主な研究領域は、マルチチャネルを活用した商品および販売戦略、マルチチャネルサービスマーケティング。
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